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HANNIBAL/ハンニバルの傘籤のレビュー・感想・評価

HANNIBAL/ハンニバル(2013年製作のドラマ)
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おーもしろかった。ハンニバルって言ったらアンソニー・ホプキンスのイメージだけど、このドラマシリーズは壮年時代のレクター博士を”北欧の至宝”マッツ・ミケルセンが演じています。色気すごすぎんよマッツ~。お話は、精神科医であるレクター博士がFBIに協力して猟奇殺人事件に助言しながら犯人をつきとめるというもの。当然本作の視聴者の多くはハンニバル・レクターなる人物がどんな人間なのかわかっているので、あくまで「助言」に留まる点がミソ。サイコパスな殺人鬼であるレクター博士が影で事件を操り、その正体を未だ知らない周りの人々が攪乱させられながら、徐々にみんなで闇の奥へと突き進んでいくという流れはゾクゾクします。

本作の良さは色々ありますが、まずはアートワークについて。全体的に証明は暗くしており、ダークな雰囲気がムンムン。美食家でセレブなレクター博士の部屋のデザインなどにはこだわりを感じますし、男性陣のスーツもビシッと決まっていて素敵。いいですねえこの暗さ、このシックなデザイン。猟奇殺人事件という題材も陰鬱で、俳優たちの抑えた演技も好感が持てます。

準主役のウィルくんが持つ能力「犯人の思考をトレースし、犯行現場を頭の中に再現、犯人像をつきとめる」というのも、過去へ戻っていくような巻き戻しの編集が見ていて楽しく、「動」的な面白さもしっかり備わっていました。

いくつかの殺人事件を見せつつ、最終的に深い闇にある人物が突き落とされるまでが第1シーズンなのですが、不快感はあまりなく(個人差はあります。私はこの手の作品好きなのでもーまんたいですが)、非常に出来がいい作品です。特に各話で大体一体くらいは登場するそれぞれの屍体はほぼ芸術品の域にある美しさで、肉をはがされ天使のような背中になった屍体が祈るようなポーズを取っていたり、何十年も前の屍体から数分前にできた屍体を組み合わせた彫刻のような「塊」が海辺にたたずんでいたり、まあ美しい。ネクロフィリアの嗜好は持ち合わせていませんが、これを製作者は(そして作中の犯罪者は)アートとして作ったのだということが伝わってきますし、グロテスクで狂気的だと感じていながらも、同時に魅せられてしまう。非常にアーティスティックな作品でした。

何度も言うけど、苦手な人はまじで無理だと思うので、1話目の時点で合わないと感じたら止めといた方が身のためです。私はと言えば続きも見る気まんまんですが。
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