つめけん

仮面ライダー555のつめけんのレビュー・感想・評価

仮面ライダー555(2003年製作のドラマ)
3.8
「俺が人を裏切るのが怖いんだ」

井上敏樹が手癖で書いた、ずっと辛気臭いヒーロー番組。アギトを暗くした感じ。

続編やるって言うから放送当時ぶりに見返した。

登場人物の誰にも「腹を割って話し合う」という機能がなく、コミュニケーション不足ですれ違い続ける展開にイライラさせられる。特に主人公の喋らなさが酷すぎる。コイツがチョチョイっと弁解してりゃ起きなかった争いが多すぎる。

「乾巧ってやつの仕業なんだ」
「なんだって!?それは本当かい!?」
というネタがあるけど、今作を端的に表した良いスラングだと思う。大体ずっとそんな話だし。

あと恋愛要素が不必要に多いのもイライラポイント。やたらに惚れっぽい登場人物たちに違和感を覚える。大人だろお前ら!

それでも終盤まではそこそこ面白い。流星塾の謎解明とかそれに伴う澤田の顛末とか、結構好き。

最終盤の、警察が絡んできてデビルマンみたいになる展開が無闇に醜悪でイマイチ。そのくせ最後は半ば投げたような終わり方だし。

弱いくせに偉ぶってずっとチョロチョロしてるだけのラッキークローバーの海老とムカデがウザすぎる。幹部級なのに弱くて序盤から何度も敗走してるのが小物臭くて良くない。威厳がない。冴子さんマジで嫌い。リンチか死にかけの奴狙うかしかしてないくせに最後までめっちゃ大物ぶっててダサい。北崎みたいに強ければまだマシだった。

最初は異様にウジウジしてたけど覚悟決めてからは主人公みたいな言動になる三原が好き。弱い奴が弱いなりに頑張ってそこそこやるってのが、ベタながら一番良い。ライダーの中でもデルタが一番好き。

どっさり嘘ついて人の仲引っ掻き回しまくってた今作最大の展開遅延要因である草加。ファイズの物語は草加がいなかったら1クールくらい巻けると思う。誰の目に見てもクソ野郎だけどそれだけのキャラじゃなくて、本人なりに辛い現実と頑張って戦ってたし、何より強くて頼りになったから嫌いじゃない。戦闘描写もなしに琢磨くんからベルト奪還してきたりとかしてね。誰の目にもつかず一人で死んだのも良かった。

乾巧は色んな意味で主人公っぽくない。外野から問題に切り込むことが多くて、立ち位置がずっと助っ人。当事者感が薄い。境遇だけ見たら草加の方がよっぽど主人公っぽい。


ストーリー以外の部分で言うと、メカニカルなライダーも、打って変わって彫刻っぽい怪人もデザインが秀逸。ギリシャ文字だのオクラだのツクシだのと奇抜なモチーフを扱っているけど素直にカッコいいのが凄い。

あとアクションもなかなかスタイリッシュに決まっててカッコいい。

それからベルトがメカ全開でカッコいい。玩具がめっちゃ売れたらしいけど、見た目や音声のスマートさに加えて、「ベルトが主役」なんて言われるほど物語上でベルトが重要な役割を担っていたので、売れるのも頷ける。玩具販促番組として優秀。
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