ネバーランドのJunのネタバレレビュー・内容・結末

恩田陸の傑作小説『ネバーランド』を映像化したドラマ。

放送時期に合わせ冬だったはずの舞台が夏に。色々と事情は察せられるが、この改変はよろしくない。原作に感じられた肌寒い一週間の冬休みから開放感溢れる夏休みに転じたことで、作品の根底に漂う閉塞感を削いでしまっている。改変の面で言えば、主要人物の寮生として加えられた岩槻の存在も疑問が残る。彼の死とそれを乗り越える展開は主題との結び付きを感じさせず、彼を脅し肉体関係を強いた高木というキャラクターと共に浮いた分子としか思えなかった。反対に、この時代特有の演出とも思しき表情のアップの多用は心情に沿った息苦しさを感じさせて好ましく映る。ティーンな役者たちの演技は手放しで褒められるものではないが、彼らのフレッシュさと幻想性を湛えた音楽は記憶に残る。