TB12

ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン5のTB12のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

前シーズンをかなり高く評価した者としてはこのシーズンのトーンダウンっぷりには中々の失望があった。

各エピソードで起こった出来事が次のエピソードでは無かったかのようにされちゃうから「あれ何話か飛ばしちゃった?」と何度思った事か。

脚本の整合性が取れてないし統一感にも欠ける。
聞く所によるとシーズン1から脚本製作の中心人物だったボー・ウィリモンがシーズン4で卒業してしまった事が響いてるのではないかと言われている(フィンチャーが離れたせいと言ってる人が多いけどそうなのか?IMDbを見る限り全73話にプロデューサーとしてクレジットされてるけど)

前シーズンラストでバチバチにハードルが上がった選挙戦をどう描くのかと期待してたけど拍子抜けするほどあっさり終わってしまうのがとにかく残念(あんなに長い時間掛けてたのに)

2022年の今あのフランク対コンウェイのグダグダな選挙戦を見てるとまるでトランプとバイデンの選挙戦を予知していたのかと思うほど似てる部分があってそういう意味ではリアリティはあったのかもしれない。

ただ前シーズンラストで追い込まれたフランク夫妻が何かとんでもない事を画策してる様を見せていたのにいざ蓋を開けてみると行き当たりばったりな戦略しかなくガッカリだった。

通信障害とか投票所閉鎖とか汚い事色々やってたけどそういうのじゃないんだよ〜感が凄い。
このドラマに求めてるのはスタイリッシュな頭脳戦なのよ。
結局勝てたのもコンウェイが自滅してくれたからだし(ドラマの都合上コンウェイのキャラも崩壊する訳だが文字通りその展開も都合が良すぎる)

トランプが当選した後だからなのか(脚本作成時や撮影時がトランプ政権以降なのかは知らないが)これまでになく政治家や大統領職に嫌味な皮肉が多かった気がする(この点は結構好きな要素だった)

権力は不動産と同じって台詞からも分かるように明らかにこのシーズンのフランクはトランプを意識している(このドラマを見てから今までのトランプの発言とか行動を思い出すと逆にトランプがフランクを真似てるんじゃないかって気がしないでもないがw)

弾劾騒動からホワイトハウス内でフランク派とクレア派に分かれたり遂にフランクが辞任してクレアのターンになったりと終盤はそれなりに盛り上がるのだが前シーズンラストで上がりすぎたハードルを超えるのはやっぱり難しかったか〜というのが個人的な感想。

それとこのシーズンやたらと人を殺しすぎ。
これまでもゾーイやらルッソやらレイチェルやら色々な人が死んでるしこのシーズンだけって訳ではないけどそれでもさすがにやりすぎじゃないか。
こうも連発されると安っぽく感じる。
トムを殺したのはもはやあのキャラをどうしたらいいのか分からなくなった苦肉の策って感じだったしキャサリンを階段から突き落とすのもさすがに無理ありすぎw

カメラに語りかけてくるお馴染みの演出も今シーズンでは新しい事を試したかったのかなんなのか知らないけどその場を静止した状態で長い長い1人語りをしたりとお粗末なものになってしまった。
キレのあるコンパクトな独り言が面白かったのに今シーズンはやたらと状況説明や心情説明ばかりでもはや「またかよ」としか思えなくなるほどウザい演出に成り果ててしまった。

逆に今シーズンの数少ない良かった点としてはフランクに今までやってきたツケが回ってくる因果応報な展開がちゃんと用意されてる事かな。
散々やりたい放題だったからね。
それら過去のジレンマが襲いかかってくる展開は良かったと思う。
ハンマーシュミットをシーズン初期で退場させなかったのは褒めたい所。

なんだかんだ最後まで見れたしそこそこ楽しめたけどケヴィン・スペイシーもここまでだし最終シーズンは見なくてもいいかなーと思ってる。
めちゃくちゃ酷評されてるのは前から知ってたけどこのシーズンですらもう微妙になってるのにその上ケヴィン・スペイシーまで居ないとなればそりゃつまらんよな〜と簡単に想像が付く。

シーズン1から4までならまたいつか見返すかも。
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