HinakoTadaki

ブレイキング・バッド SEASON 5のHinakoTadakiのレビュー・感想・評価

3.8
最後まで圧巻だった... けど悲しいシーンが多かったからこの評価に。
それぞれのキャラクターを通して、人間の汚いところ・良くないところがすごく鮮明に表されてると思った。
ハンクにウォルトのやってることがバレたらふたりの関係はどうなるんだろうと思ってたけど、ハンクはウォルトをかばうことなく「犯罪者」として粛々と取り調べていくのが辛かった。優秀な捜査官だからそうするのは当然のことかもしれないけど、家族的なつながりに引っ張られてもっと情に流されるかと思った。マリーも同じ。この事実を聞いた瞬間から、家族は崩壊した感じがした。大事に積み上げていったものだったのにこんなにも一瞬で崩れちゃうんだなととてもとても悲しくなった。
そして地味に心に来たのがスカイラーがウォルトに対して「ガンの再発を待っている」と言ったところ。こんなに悲しい台詞あるんだな... 最初のほうはみんな一丸となってがん治療に立ち向かっていて、こんな日が来るのを夢にも思っていなかったのに、でもこの展開はとてもリアルだと思った。いつまでも平和でいられる家族ってなかなかないんじゃないかな。小さな事件や違和感が発端となって崩壊していくんだろうなって。一番最初に砂漠でメスを作った日、電話でスカイラーにたどたどしく嘘をつくシーンが織り交ざっていたのが悲しかった。そのときのスカイラーはフリマで不用品を売って生活費を稼ごうとしてたけど、今では「お金はいくらでもあるけど家族がいない」状態なのとても悲しい。

ジョンたちとハンクのシーンはもう心えぐられるほどつらかった。ハンクは最後までハンクで本当に素晴らしかったし、視聴者が見ていてこんなにつらくなるほどハンクの特長や性格を演じきってキャラを確立させたディーンノリスさんが素晴らしい。

ウォルトが最後スカイラーに、今まで言い続けてきた「これは全部家族のためなんだ」ではなく「これは全部自分のためだった」って言うところがあまりにも切ない。ウォルトは本当になにもかも失って、最初のころのシーンが思い出せないほど人生や生活が一変してしまった。でもなんとなく、これは誰にでも起こりうることだし誰でもやりかねないことな気がして、それがリアルでつらかった。どんどん嫌な人間になっていくウォルトが切なかった。平気で嘘ついたり人を殺したり、悲しすぎたよ。