このレビューはネタバレを含みます
ガンを宣告された化学教師、ウォルター・ホワイトと、違法薬物の下っ端売人、ジェシー・ピンクマンのコンビが織り成すクライム・サスペンスドラマのシーズン5後半。
つまりファイナル・シーズン。
✏️自業自得
自らが引き起こしてきた全ての出来事への清算と決別、そして終結。
「家族のために」
そんな清廉潔白な動機から始まったウォルターの麻薬ビジネスがついに終わりを迎える。
これまで彼自身が蒔いてきた種、塗り固めてきた嘘、守ろうとしていたかけがえのない大切なモノの全てが、音を立てて崩れていく…
そんな「一人の人間の人生が終わる瞬間」をまるで走馬灯のように切り取り駆け抜けていったシーズンだった。
最後の最後まで「家族のために!家族のために!」を貫き通してきたウォルターが打ち明けた、本当の思い。
「全ては自分のためだった」
「私には才能があった」
恐らく、いや確実にそうなのだろう。
でなければ、一介の化学教師が麻薬ビジネスという危なすぎる橋を渡り、世間を騒がす「ハイゼンベルク」になどなれるわけがなかった。
ウォルターに関わったほぼ全ての人物が幸せなラストを迎えていない。
しかし本作のスゴいところは、これだけのバッドエンドながら「後味の悪さ」をほとんど感じない点だ。
ある者は死、ある者は社会的な破滅という悲惨すぎる運命を辿っているが、むしろ清々しくもある。
皆が皆、「自分が選択した」道を進んだ結果こうなっている。
ウォルターは早々に麻薬ビジネスから手を引くことができたし、そもそもカネを稼ぐために麻薬を製造するという異常な手段を選ばないことができた。
ジェシーは大量の分け前を持って逃げ、どこかの街で静かな隠居生活を送ることも可能だった。
スカイラーは、リスクはあるが夫の蛮行を通報し、早期に事態の鎮静化を図ることもできた。
各登場人物の「ああしていたら」「こうしていれば」を挙げればキリがない。
とにかく皆、数ある選択肢の中から自分の意思で選んだ道を進んだ結果なのだ。
☑️まとめ
究極の「自業自得」。
変にハッピーエンドなどにはせず、ひとりの化学教師、そして伝説の麻薬売人ウォルター・ホワイトの終末を描き切る素晴らしいドラマだった。
<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★★
🏃♂️テンポ:★★★★★