ゲイリーゲイリー

ブレイキング・バッド ファイナル・シーズンのゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

4.5
ガン患者の化学教師が麻薬王へと変貌していく本作の最終シリーズ。

終盤へと進むにつれ、ウォルターが転落していく様や追い詰められていく状況から目が離せない。

ここまで脚本が見事な作品には、滅多にお目にかかれないのではないだろうか。
些細な出来事が意外な展開の伏線となっていたり、序盤に見せられたシーンがここに繋がるのかという驚きなど脚本の素晴らしさが常に光っていた作品だった。

そしてウォルターと家族の関係や、なによりジェシーとの関係の描き方が素晴らしかった。
決してウォルターの行為は褒められたものではないが、それでも家族を想った行いやジェシーの為に身を張ったことがあったのも事実。
ウォルターの自業自得といえども、個人的には彼を嫌いになることはできなかった。

自己顕示欲を満たす為に自らがしてきた行いが、とても虚しい行為であり最も大切なものを犠牲にしていたと気づいたウォルターを見事に演じきったブライアン・クランストンの演技力はとても良かった。

クライムサスペンスでありながらも、ウォルターの転落を描くことで様々な感情を内包した本作品はとても素晴らしい作品だ。