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イエローストーン シーズン3のいののネタバレレビュー・内容・結末

イエローストーン シーズン3(2020年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

鑑賞者のうちの多くの方が、シーズン1からとっくにわかっているようなことを、ここに至ってわたしはようやく少しわかったのだと思う。わたしは本当に理解が遅いというのか、腑に落ちるのに時間がかかるというのか。シーズン2視聴完了までに時間を要し、シーズン2の感想で、もうここでいったん休憩したいと書いた。けど、そう書いたことが良かったのかな。なんかようやくフツーに(フツーっていったいなんなん?)鑑賞できるようになった気がする。


シーズン2でヤクザの抗争劇のようなことが繰り広げられたあとだったからか、シーズン3では、登場人物たちが、心身ともに受けた傷を癒すような前半で、それがとても良かった。キャンプとか。

テイラー・シェリダンたちが今作をはじめたときの構想には、カウボーイの生活をちゃんと描くということが、柱のひとつに必ずあっただろうと思うのだけど(調べず適当なこと書いてます)、今シーズンでも、馬や牛など、本当に生き生きと描かれ、カウボーイたちの生活もまこと丁寧に描かれていることが本当に素晴らしいと思う。


それから、西部を通して、アメリカの歴史の一端を描きたいということも、わたしが推測するまでもなく当然あっただろうと思うけれど、その際、アメリカの開拓に於いて、犠牲にしてきたものや踏みにじってきたものや、いま抱えている矛盾などをちゃんと描くということが、ちゃんとなされていることにも感嘆する。ダットン家は、ジョン(ケヴィン・コスナー)が7代目。彼が先祖から受け継いできて、文字通り“死に物狂い”で守りたいものがあるけれど、同時にそれは先祖たちが先住民から奪ってきたものでもあるわけで、そういったこともちゃんと視点に入っている。


土地の奪い合い
広大な土地を所有しているダットン家の納税価格は半端ない価格で、どこまで持ちこたえられるのか。当然、その土地を狙う業者は絶えない。手口はあくどくなる。容赦ない。でも、違う立場からみれば、その土地が別の用途で使われ、そこにあらたな雇用が生まれ、観光客なども増えれば税収増ともなるわけだけど、でも、それで本当に良いのかという問いは、たぶん、世界のあらゆる場所で展開されている問題でもある。今シーズンでじわじわと追い詰められているダットン家の姿は、かつて土地を奪われ追い詰められてきた先住民の姿とも重なる、というところまできたのだと思う。


などといったことを、ようやく考えられるようになった。やっぱり、テイラー・シェリダンたちが、最後にどのような視点をもってくるのか見届けたい。そう思うようになってきた。



メモ
・第5話 ジョン「人と仲良くなるのは嫌いだ」のセリフがしみた。

・第7話 ウインド・リバーを思い起こす襲撃場面があった。

・第9・10話 ウィル・パットンが出演したことが感慨深かった。彼は、インディーズの代表(のうちのひとり)といったイメージがある(アレクサンダー・ロックウェルやケリー・ライカートの映画に出演。『ノマドランド』にも出演していたようだけれど公開当時わたしは彼を認識できていませんでした)。ウィル・パットンがあの役を演じることで、単純な悪者にはしない、といった制作側が込めた思いをわたしは受け取ったつもりです。シーズン4にも出演するのかな。メジャーで活躍してきたケヴィン・コスナーに対して、インディーズでも活躍してきたウィル・パットン。なかなか心憎い配役なのではないでしょうか。
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