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永遠の仔のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

永遠の仔(2000年製作のドラマ)
5.0
親からの虐待を受け、同じ施設に預けられた優希(中谷美紀)、梁平(椎名桔平)、笙一郎(渡部篤郎)。互いの似た境遇から、固い絆で結ばれることになった彼らは、密かに優希の父親・雄作の殺害を計画。それから間もなく雄作は山から滑落死してしまう。その後、成長した3人は17年ぶりに再会をはたし、優希は看護師、梁平は刑事、そして生一郎は笙一郎と改名し弁護士になっていた。だが運命的な再会を果たしても、彼らはいまだ癒えぬ深い心の傷を抱えていた・・・。
3人の再会と時を同じくして、殺人事件が起こる。優希の母が殺害され、母に優希が頑なに語らない「過去」を問い詰めていた弟の聡志に容疑がかかる。惨劇が続く中、苦悩する3人の魂に救済はあるのか?
天童荒太の同名小説をドラマ化。
性的虐待のトラウマから、恋愛や結婚から自らを遠ざけ修道女のように患者に献身的に尽くし、虐待されたのも家族がおかしくなったのも自分のせいと思い込み責め続けている優希。虐待されたトラウマから虐待事件には怒りを露にして捜査したり、自分を愛される資格がないと思い込んでいる梁平。母による虐待のトラウマから女性と親しくなれず、火を怖がるクセが抜けず、自分を愛される資格がないと思い込んでいる笙一郎。
再会をきっかけに、優希が病院で出会った性的虐待をされた婦人や弟の聡志、笙一郎が出会う梁平の恋人、梁平が再会した養父との交流の中で、自らの過去とトラウマに向き合い、「無力で無意味な存在」に思えた魂が「酷い傷を受けながらも死なずに懸命に生きてきた生存者サバイバー」として自分の人生に意味を見いだして再生していく葛藤と再生のドラマ。優希を救うために梁平と笙一郎が子供の頃犯した「聖なる罪」とは何なのか、優希たちの周りで起きる殺人事件の真相の謎解き。「傷つき苦しんでも、苦しみや楽しみを分かち合い支え合える人がいたら、辛いことばかりの人生にも意味が見いだせる」傷つき苦悩する魂の再生を描いた魂を焦がすような傑作ヒューマンドラマ。中谷美紀、椎名桔平、渡部篤郎、石田ゆり子の魂を焦がすような演技が、印象的。
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