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ブラック・ミラー シーズン1の傘籤のレビュー・感想・評価

ブラック・ミラー シーズン1(2011年製作のドラマ)
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Netflixを代表するSFドラマシリーズ。1話完結の短編になっているのでどこから入ってもOKなユーザーフレンドリーな作品。でも内容はよい子には到底見せられない衝撃的な内容ばかりです。かなり面白かったし、すごく好みだったのでとりあえず3話の感想全部書いてみる。

シーズン1
1話 国家
イギリスで国民から人気のスザンナ姫が誘拐される。犯人も目的もわからない中で英国首相にある”要求”が突きつけられてきた。それは「首相が豚とセックスしているところをリアルタイムで放映しろ」というもの。これに対して国民たちは大盛り上がりし、流せ流せと迫ってくる。スザンナ姫を人質に取られていることもあり、苦渋の決断の上、首相はその行為を実行に移すこととなる……。あくまで寓話ではあるのだが、SNSの醜悪な部分や、もっと根本にある人間の善性についてのお話。衝撃的だが冒頭から最後の場面まで眼を離すことが出来なかった。傑作。だけどよい子は見ちゃだめだよー。

2話 1500メリット
ディストピアもの。徹底的に管理されたその社会の中から脱出するためにはオーディションに合格するしかない。しかし優勝者に待ち受けているものは……。『アメリカズ・ゴット・タレント』の風刺になっていて、大勢の前で人間が人間を評価することの不気味さとかおかしさを露悪的に描いた作品なのだと思う。「ルックスの美しさ=性的な魅力」というひどく一元的だが、だからこそみんなが乗っかってしまう部分を露わにしていく。最後は自分の気持ちが「偽物」へと置き換わる瞬間を捉え、人間性の敗北に行き着く。これも好き。

3話 人生の軌跡のすべて
自分の記録をすべて録画再生できる近未来画舞台のお話。この題材で夫婦の話なら当然「不倫」という方向に進むんだろうなー、と思っていたら予想通りでした。その意味で新しさはあまり感じられなかったけど、脚本はきれいに整頓されててグッド。録画を再生するデバイスを使うときの指使いとかも見たことないはずなのに「生活に根付いている行為」として描かれていて、その異化効果が地味にワクワクします。

ということでどれも非常に出来が良く、10年以上Netflixを代表するシリーズになってるだけあるなあと思いました。ていうか今までなんで見てなかったのか不思議なくらい。
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