ぐる

ピーキー・ブラインダーズ シーズン6のぐるのレビュー・感想・評価

5.0
このドラマの結末は故ヘレン・マックローリーと共に、そして私が今作に出会った土地・ダブリンのテンプルバーで見届けたかった。二つとも叶わなかったけど、コロナ禍での撮影を成し遂げ、最後まで手を抜かなかった製作陣の皆さんお疲れ様でした。

「ゴッドファーザーのイギリス版」にならないために、時には製作陣のもがきすら感じられる作品でした。S3E2からS4に飛ばしS5もサラッと飛ばして小綺麗にまとめる方法もあったのでは…なんて考えていますが、S3E3〜S3E6とS5で狂気と死への欲望を本格的に描くことが、他のギャングものにもファミリードラマにもない今作だけの魅力を作り出すのに必要だった気がします。

時代ものだし、ギャングものだし、帰還兵が時代背景をうまく利用して成り上がる話だし、家族の話だし、毎シーズン強敵現るし、謎解きもあれば、多種多様のロマンスもあるこんな多機能栄養食的な作品はこれから現れるんだろうか。まだ余韻に浸っているけどロスが怖い。

しかし’I warn you, I break your heart’は視聴者に向けてのメッセージだったな…最後の最後までフェチ全開の映像だったし。特に今シーズンは時計がずっとモチーフで良かった。



余談ながら個人的な思い出について。
2019年夏、S5が公開されたときちょうど私は留学でダブリンに居ました。主演のキリアン・マーフィーがアイルランド人俳優の筆頭格であることや、アイルランドがツイード生地の名産地であること、‪アイルランド独立戦争〜内戦の史実がストーリーに織り込まれていることなどなどで、現地の人々はみんな大好き。

S5が公開されると本屋には関連書籍が山と並び、土産屋では「あの帽子」が山と売られ、とにかくどんな商品にもピーキー・ブラインダーズのロゴやラベルが付いている騒ぎ。SNSもパブもみんなその話で持ちきりで(こりゃ追いつかないとまずい)と長年ウォッチリストに入れて放置していた今シリーズを一気見しました。すぐに世界観にどっペリのめり込み中毒気味になった。フラットメイトと感想を言い合ったり、留学生同士でも「爵位に興味はあまりなかったけど、O. B. E. は欲しくなった」と話したり、色んな人と話ができるきっかけを沢山与えてくれた作品です。そういう意味でも製作陣の皆さまに感謝。
ぐる

ぐる