geminidoors

ベター・コール・ソウル シーズン6のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

4.7
当方多忙の都合、実に"蝸牛の歩み"で観た当ドラマ。もっと観たい!続けて観たい!との欲求を封じ込め、我慢するのに苦労したもんだ。
いやはやなんとも、ワタシの過去に於る"ドラマ"に対する"何処かで引いた概念"を打ち砕いてくれた気がしているょ。

家庭内でコレほど一つの映像作品に対して会話が交わされたのも珍しく。絵や音楽や映画やファッションに対して、常に鋭い我が悪妻も、度々ウシの様に?唸らせたし、ゴリラの様に吠えさせた。

全て観終えた現在は脱力感。
まるでアルバカーキからメキシコ寄りの広野の如くだ。いわゆる喪失感みたいな寂しさを感じざるを得ないで居る。逆に実生活の忙しさが救いかも知れない…
(このレビューだって毎日ウンコしながら少しづつ書いてるってもんだ。だから臭うかも知れない…)



たまたま"エルカミーノ"→"ブレイキング・バッド"の順で観たワタシだったが、今思えば当ドラマの予告編や紹介文の様なものを通しては食指が動かなかったと思うのだ。
filmarks参加の数名の常連方々の刺激有るコメント等を頂けなければ観なかっただろう。
この場を借りて勇者の気紛れに御礼申し上げたい!

「ドロ沼のヌカルミは心地良かったデス。」



ジミーことソウル?ソウルことジミー?の育った家庭環境、具体的に大きくは父や兄との関係。
キムの母親との関係しかり。
マイクの息子に纏わる過去しかり。
ガスの過去の相棒(恋人)を殺められた復讐etc.
結局は簡潔に判りやすく、主要人物の過去や成り立ちを描き、ある意味明確な立ち位置を示し、各人に必ず観る者が何処となく肩入れしやすいポイントが忍ばされていた。
それらの駒や事象を、サブリミナルみたいな画面効果ではなく、あくまでアナログ感覚で堂々とシャッフルしたり"そう来たかぁ〜!"と唸らせる程の"振幅タイミング"で提示する構成。それがあざとくないのがセンスであろうかと感じたり。
そう…振り幅にスッカリやられてしまったのだった。

当ドラマの主軸はジミー&キムの、まるでそう移動はしない"俺たちに明日はない"的な"魂の寄り添い愛"みたいな劇だったのかも知れない…
だがマイク・エルマントラウトの過去や立ち位置の掘り下げ無くして、長丁場の鑑賞旅行は物足りなかっただろうし。
私的には"無口な中年の地団駄劇"に弱かったりするから、彼の設定や演技は好感として印象に残った。
でも彼は相当なお歳なんだろう。回を重ねる毎に真っ黒な衣装が大きく、つまりは痩せてしまっているのが見受けられ心配になった位だ。
今後そう数多くの作品で出逢えるとは思えないが、活躍して欲しい一方で、コレを最後に静かな余生を過ごして欲しいとも思ったりする。(この気持ちは自己投影かも知れないナ…)

あと、ナチョも印象深いがナロ・サラマンカの不敵な笑みを湛えながらの過激な行動、その自然体にワタシは夢中になったもんだ。
あまりに個人行動な脚本に少し都合良さも否めないが、彼はキムに"誰も部下に信用出来る人が居ない"との意を指摘される場面は或る意味貴重で、だからこそ最終的なキムとの会話や亡くなり方が非常に惜しいとは感じた。
クリーニング工場でのシーンは、ナロの登場から埋葬までカメラも照明も担当が変わった?と感じた位に質が落ちていた。惜しい。

あと、初めキムは容姿的に好みではなかったのが、後半どんどん好きになって、最後は最高なパートナーじゃないかっ!と惚れていたんだから、罠にハマったのは私自身なんだろうナ。



好ましさとしてー
うるさ過ぎない音楽や効果音。
出演者各々の力量と演出。
カメラワークや美術というか、特に配色。(但しガスの部下が二人抜かし他は皆押し並べて黒服だったのは除外。あれじゃ仮面ライダーのショッカーだわさ!)
感銘の的を射抜き続けてくれた長丁場も、とうとう終わってしまった…
きっと益々日本のドラマなんて観ないだろうな。実に実にレベル違い過ぎるわ。

改めて書いてしまうけど、サビシイナ〜
これから何観ても楽しくないんじゃないかしらん…とさえ今は思う。

"トゥルー・ディテクティブ"のシーズン1
"ピーキーブラインダーズ"
"ブレイキング・バッド" &本作。
ワタシの中のドラマに対して長いこと抱えていた偏見を取り去るどころか、久しくこんなに夢中にさせてくれて…
一言、アリガトウヨ❗️
geminidoors

geminidoors