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ベター・コール・ソウル シーズン6のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

子育てや家庭のゴタゴタにて今更鑑賞。何でもっと早く観なかったのか。大大大傑作ではないか。2015年から6シーズンに渡って放送された「ベター・コール・ソウル」のみならず、2008年からの「ブレイキング・バッド」から数えて足掛け14年の”アルバカーキサーガ”。本作はその決定的な完結篇であることが強く意識されているが、特に後半の3話は神がかっているとしか言いようがない。

つまり、「Breaking Bad」と前作タイトルが冠された11話からの展開である。ここまでも「ベター・コール・ソウル」では、時間軸の現在をカラーで、「ブレイキングバッド」で描かれた時間以降をモノクロにてソウル・グッドマン(ジミー)の潜伏の様子を小出しに描いてきた。シーズン6のここまでで「ベター・コール・ソウル」の時間軸が「ブレイキングバッド」のスタート時点に追いついたことで、この11話からは「ブレイキングバッド」時間軸における「ブレイキングバッド」では描かれなかった場面が、モノクロの未来時間と交互に進行する。ウォルターやピンクマン等の旧作主要キャラのみならず脇に至るまでここから動員されていくわけだが、この構成によって2つの大傑作ドラマシリーズは完全に1つのサーガとして融合した上で、登場人物それぞれに新たな深みが加えられるわけだ。こんな企みがかつてあっただろうか?いや、今後ありえるのだろうか?空前絶後とはきっとこの事だろう。振り返って鑑賞したエピソードも数多く、うれしい悲鳴である。

当然、「ブレイキングバッド」時間のシーンであれ今回新たに撮影されたわけで、役者陣は当時のテンションを現場に持ち込まねばならない。だからこそ名優たちの気迫には凄まじいものがあり、1つ1つのセリフ運びから目が離せない。11話はソウルの秘書フランチェスカの現在の生活、そして郊外の寂れたスタンドの電話ボックスでソウルからの電話を受ける場面へと続くが、冒頭から名シーンの連続。撮影も極めて美しい。

そしてさらに特筆すべきは最終13話「さらばソウル(Saul Gone)」である。このエピソードではタイムマシンがテーマとなっているが、法を犯し、ブレーキが壊れた車のように抜け出せない深みに突き進んでしまった登場キャラクターたちにジミーが「仮にタイムマシンがあったとしたらどの地点に戻りたいか?」を問いかける構成となっている。

※ マイクが戻りたい日として最初に挙げた日は恐らく息子が死んだ日。その後、自分が賄賂を最初に受け取った日と言い直す。

※ウォルターは自分の後悔を口では会社を去ったことと言っているが、その直前にピンクマンから51歳の誕生日にもらった時計を見ていることを思えば、彼をギャングに渡したことを後悔しているのであろう。

ジミーは”ジーン”という変名で潜伏をしていたが、10話からはジーンが再びソウルに戻っていく過程が描かれる。しかしこの13話ではさらにソウル・グッドマンがジェームズ(ジミー)・マッギルにまで戻っていく。刑務所に面会に訪れたキムと吸うタバコの先には、仄かに赤い火が(モノクロ画面に)点いているが、それは裁判所の地下駐車場でタバコを吸っていたあの日に戻ったかのような、まるでタイムマシンが作動したかのような瞬間だった。

その他、各エピソードにも折角なので一言ずつ備忘のためにも触れておきたい。

#3ナチョの最期

#4サラマンカの弁護士だという噂が広まり、法廷仲間達からは疎まれるも、ギャングたちが殺到。ギャングの仲間になるか、密告者となるか。その時のキムの落胆たるや。

#6キムの子供時代。なぜキムが?の答えともなる母親が強烈。

#7ハワード...。こんなに口をあんぐりとさせてしまったのは、ゲースロの血の結婚式以来。

#9 ラロも死に、日常へ回帰していく(マイクたちの後処理が見事すぎる)。2人が揃うと害悪になるため、キムとジミーは別れることに。ナチョの父の言葉は重い。
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