ねまる

ザ・クラウン シーズン3のねまるのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン3(2018年製作のドラマ)
4.1
エリザベス女王が、
バッキンガム宮殿の中で、
ただ立っているそのシーンだけで、
「クレア・フォイのエリザベス女王だ」と
そう思った。
過去のシーンから始まるのかと思ったほど。

オリヴィア・コールマンの、
下手をすればモノマネにもなりそうな
独特の話し方の習得、醸し出す雰囲気。
全くキャストが違っていながら、同じ世界線の上にいる。
オリヴィアだけでなく、トビアス・メンジーズ、ヘレナ・ボナム=カーター、ベン・ダニエルズ、誰もがそっくりだった。
キャストはもちろん、『ザ・クラウン』というドラマの世界観自体が、
映像、音楽だけでも確立されたものがあるということの証明のようでもあった。

1話1話の強いメッセージ性を帯びたストーリーはシーズン2から引き続き踏襲されていて、
王室のファミリーの話だけでなく、イギリスの近代史を王室の立場から知ることの出来る教材のようなドラマでもある。

中でも、印象的だったのは
チャールズ皇太子のお話。
ジョシュ・オコナーの素晴らしさ、天才性というのは、シーズン4でゴールデングローブ他数々の賞を受賞していることからも明らかではあるものの、彼の演技を観ているだけで楽しいと思えるほどなのだ。

「宙ぶらりんの男」では、
ソール・ベローの同名著書の、
戦争に行けば生まれた意味が出来ると徴兵を待つ主人公に自分を例え、
「つまり僕は、自分の人生に意味を与えるために、母が死ぬのを待っているんだ」という。
あまりに衝撃的な台詞だった。
チャールズというキャラクターに同情にも似た感情を抱いたと記憶している。

このドラマの登場人物は
どうにも誰も一概には愛せない。
中でも複雑なのが、チャールズなのだろう。
シーズン4、ダイアナとの結婚によって、彼がどう変わっていくのか、チャールズのために続きが観たいと思った。
ねまる

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