Rocco

ザ・クラウン シーズン4のRoccoのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

いよいよ、サッチャー時代に突入。ジリアン・アンダーソンは話し方を見事にサッチャー元首相に似せているけど、喉から絞り出すような声と、顔を斜めに傾けて微妙な角度で女王を見上げる演出が少し鼻に付く。外見なら他に似ている女優さんはいるだろうけど、エジンバラ公と同様、アメリカ人を入れる必要があったのかな。

多少の誇張はあっても全くの創作ネタは入っていないだろうとの前提で今作を観ると、チャールズにも同情出来る部分があったのかと思う。ダイアナに対してやったことは決して正当化されないけれども。

彼の冷血ぶりは実は母親ゆずり、産後外遊で半年も置き去りにされて、十分な愛情が受けられなかったせいかもしれない(ここで、炭鉱事故で被害者に共感できず泣けなかった女王のエピソードを思い出す)。自分が何を考えているか関心を払われることもなく、愛情も示されず、両親とも自分以外の子供が好きで、自分の存在が意識されるのは王位継承権のためだけ、というチャールズが、自分の存在をそのまま受け入れ、愛情を注ぎ、共感してくれる親友的なカミラと一緒にいることがいかに心地よかったかは想像に難くない。周囲がお膳だてした妻は、彼女ほど教養がなく、趣味も合わず、年齢も離れすぎている上、どこへ行っても自分よりも注目されてしまう(そして本人も注目されることが好き)のだから。

ダイアナ妃の孤独の深さを思う。

この結婚の大失敗を踏まえて、女王がハリーの結婚の際にかなり譲歩したこと、それが今や大陸を超えて王室を揺るがす大変な爆弾になってしまったことを視聴者の大半は知っている。さらに、女王がチャールスよりアンドリューと一緒にいる時のほうがリラックスしている様子を見ると、亡くなる直前の彼の小児性愛スキャンダルはさぞかしショックだったろうな。王室関係者はこのシリーズは完全なるフィクションだと否定しているらしいし、王子たちは観ていないと思うけど、こうした理由で単純に興味深く面白いと思って見ていた前1~3シリーズとは異なり、シーズン4は生々しいし、悲しい。

サッチャー元首相の葬式で快哉を叫んだ人たちがいた一方で、同い年の女王がその後何年も行き、国民に愛されて亡くなったことも何だかな。

最後に、偽りの結婚で不幸を背負いどんどん猫背になるチャールズを演じたジョシュ・オコナ―、『ゴッズオウンカントリー』では全くの別人。これは観なくては。
Rocco

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