サンタフェ

ザ・クラウン シーズン4のサンタフェのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
2.0
いつもの海外ドラマ シーズン4って感じでした。

エリザベス女王の(色々ありつつも最終的に)ナイスムーブ展開がシーズン3で終わり、その他大勢の長期海外ドラマと同じくシーズン4あたりで全てが下り坂となるいつものパターン。

うーん、実在のお話で元々哀しい話なのはわかるんですが、別に戦争や災害や社会問題などではないので、このおつらい話を「哀しいけど、悲惨さそのまま語り継がなければ」という社会的意義は感じないんですよね。特に私は英国人ではないので。なので、単純に「かわいそ…⭐︎2つです」となり終わりでした。

S1-3の頃はまだエリザベス女王の決断に国内的にも国際的にも政治的な実影響があり、また時代的に王室が立ち回りをミスれば解体されるスリルがありましたが、シーズン4の頃にはそういった切羽詰まり具合はないですからね。チャールズと同じベクトルでウザかったフィリップ殿下も、チャールズ皇太子やダイアナ妃と比べるとこの辺りの真面目さというか本気さが桁違いです(それ故にフィリップ殿下が大真面目に好感度を上げようとした密着TV番組で大失敗したのはウケましたが)。なので、どうしてもチャールズもダイアナも甘ちゃん同士の喧嘩みたいに見えてしまいますね。

また、いくら実話ベースとはいえドキュメンタリー番組ではなくドラマであり、どこまで本当かわからないため、これで実物のチャールズ皇太子を100%カス判定するのも忍びないという側面も作品に対して微妙に心が乗れませんでした。

チャールズは”キャラ”として観ると例えばゲームオブスローンズでいうサーセイやラムジー並のカスキャラですが、さすがに「チャールズうざすぎる!!!カス!!!」「チャールズ死ね!!!」とゲースロのようなノリで盛り上がるのは気まずいですからね…。

王室の問題を痛烈に描いたのはご立派かもしれないですが、かといって別に今現実にチャールズ皇太子の即位を本気で拒む抗議とか王室縮小の抗議とかはイギリスで大してないんでしょうし、本作もそういった主張はないんでしょ、となっちゃうんですよね。なんか作品に対しての距離感がいまいち掴めないですし、どうしてもおツラさの消費みたいに感じてしまって。本気で糾弾する=潰す覚悟がないのになんとなく王室の腐敗をエンタメで描くの、日本でいう週刊誌程度のエンタメって感じちゃうんですよね。それでいて「バイアスなしに真実をただ知ってほしい」という作風ではないのは明らかですし(明らかにシーズン4から急激に王室全体ならびにエリザベス女王がクズっぽく見えるように”サゲ演出”が行なわれている)。

正直なところ観終わった印象としては、よりによってS1-3ではなくこのシーズンがエミー賞なんだ…という感想です。なんか海外ドラマってとりあえず地獄展開やっとけばウケるし批評でも評価される印象が強いですが、あまり刺さりませんでした。
サンタフェ

サンタフェ