幽斎

そして誰もいなくなったの幽斎のネタバレレビュー・内容・結末

そして誰もいなくなった(2015年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2017年鑑賞。原作は世界で最も有名なミステリーの1つAgatha Christie「And Then There Were None」ですので、トリックも犯人も分ってる訳ですが、それでも世界中でリメイクされ続ける傑作中の傑作。原作と違うのは差別用語の改変やディティールが小説版では無く、後に作られた戯曲版に沿った構成に為ってる。
1時間ドラマを3話(計180分)放送されたものだが、本国BBC制作だけ有って映画顔負けのクオリティで、Kenneth Branaghがぶち壊した「オリエント急行殺人事件」より全然出来が良い。真相の解明が原作と異なる以外は、実に忠実に原作の雰囲気を今に伝えてくれる。原作は禍々しさに溢れた作品だったので、今で言うホラー・テイストに成るのも必然。時代設定も小道具まで忠実に再現され、現代版への置換えでクオリティが下がる心配も無い。薄っすら原作を覚えてる方でも安心して楽しめる様に、良い意味で演出も鮮麗されてる点は手放しで褒めたい。
元々、知らない招待客の元へ孤島へ10人も集まるのか?と言う原作唯一の弱点に目を瞑れば、スリラーとして最高の出来と改めて感服。クローズドサークルと童話の手順に依り殺されるのは日本では横溝正史の「獄門島」を始め数多くのリスペクトが有る。これまでの作品よりも、登場人物への描き方も踏み込んだもので、原作では罪の深い者ほど後で殺される、と言うルールが有りますのでレビューも殺される順番で。

オーエン夫妻 実在しない、名前の由来が秀逸

Douglas Booth イケメン、近作だと「高慢と偏見とゾンビ」嫌われキャラで早々に退場

Anna Maxwell Martin 料理は最高、でも直接手を下してないとは言え同罪なのは当然

Sam Neill 私の大好きな俳優の1人、退場が早すぎる(笑) 奥さんは渡辺典子、日本人!

Noah Taylor 最新作は「スカイスクレイパー」一番怪しそうだけど意外とあっさり

Miranda Richardson オスカー女優、良い人そうに見えて徐々に本性が見えて来る

Charles Dance 英国を代表する名優、癌で侵され余命僅かと言う設定

Toby Stephens 007に出てた時はカッコ良かったけどなぁ・・・ 悪人ではない

Burn Gorman 「パシフィック・リム」でお馴染み。原作にない同性愛が出てくる

Aidan Turner 「ホビット」の人、次期007候補も納得の女性ファン必見有り

Maeve Dermody 10人目、ある意味主役で原作通り彼女の視点で描かれてるが、登場人物で最も狡猾である。数多の名優の中で、彼女の存在感なしには語れないほど。真犯人が最も好きな方法で彼女を殺害するが、唯一死に際を見ないまま立ち去る演出が逆にセンス良かった。

本作では、これまでの作品とは異なり本来原作が持っているダークな部分が色濃く反映されておりAgatha Christieが伝えたかった部分にまで言及する演出がとても良かったと思います。脚本家のSarah Phelpsは本作が評価され「検察側の証人」「無実はさいなむ(ドーバー海峡殺人事件)」と続けて作品化されてます。此方も秀作ですのでDVDが出たらレビューします。3時間と長尺ですので、お時間の有る時にじっくりお楽しみ下さい。
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