玉生洋一

あぐりの玉生洋一のネタバレレビュー・内容・結末

あぐり(1997年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

NHK朝ドラ。
昔、さいしょのほうは見たと思うが、4Kで放送開始になったことを機に改めて鑑賞。
大いに楽しめた。

1話あたりの密度が濃い。
近年の朝ドラは1週間(5回)で1ストーリーというつくりが多いが、
あぐりは週ごとのテーマはあれど
各話ごとに起承転結やピンチや引きがある回が多い印象だった。
とくに林さんと家族になってからの各回は
1話1話が濃く楽しめた。

あぐりは天真爛漫で天使のような存在で、
その周囲の人物たちのドラマもふんだんに描かれている。
エイスケ、淳之介はもちろん、
母、義母、義父のドラマも重要なパーツになっており、彼らの亡くなるシーンも丁寧に描かれている。
それはそれで楽しめるのだが、その分だけ
肝心のあぐりの美容師ドラマが省かれているように感じた。

とくに店を構えたり、支店をいくつも構えるようになってからの美容師としてのドラマを、もう2〜3トピック見たかった。
結局僕が朝ドラに求めているのは
主人公の「ものづくりドラマ」(または働くドラマ)
なのだろう。


どうやら戦後に大規模チェーン展開をしたくだりは
ドラマの脚色らしい。
なぜそんな脚色をしたのだろう?
限られた登場人物で小規模に作ったほうが
人間ドラマが描けただろうに。
そのように脚色するくらいなら
「戦前に支店展開した際のほかの支店の話(同格の鈴木砂羽はもちろん、直弟子たちはなぜ支店に派遣されなかったのか)」
のあたりをもっとくわしく見たかったし、
「一度閉店して数年後に席がひとつだけの美容室を再開店する話」や
「その美容室を閉店しなければいけなくなった日の話」
も映像化してほしかった。


吉野紗香の美少女ぶりが際立っていた。
弟子入り初日に目立っていた弟がその陰にかくれたかのように
目立たなくなったのがあんまりだと思った。

※2021 BSプレミアム、BS4K