Relishi

職員室のRelishiのネタバレレビュー・内容・結末

職員室(1997年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに完成度の高い、良いドラマを観た。

「今の生徒は心の中まで汚れていると思う。」矢崎(浅野温子)のセリフ。
これは今までの学校への問題提起ドラマとは一線を画している。問題作だ。
生徒も無名の役者を取り揃え、匿名の空気を醸し出す。
かつての熱血教師と言える津田(仲村トオル)がこの中で恐ろしいほど滑稽に映る、怖いドラマ。

しかしながら、痛々しく悲しい生徒の心の内がそれぞれに明かされ、小さいながらも救いの灯りがともされていく。
第6話までは分かり合えそうで、けれども生徒に突き放されていき、悲しさと悔しさを津田も矢崎も抱えていたが、第7話のオザキの回に、教師と生徒が繋がり合えた瞬間が描かれた。

中学生のオザキに一人旅をさせる矢崎。
誰に頼ることなく自分の足で歩くこと、自分の意志で選ぶこと、学校教育にはない、その生徒に見合う道筋を矢崎は尊重し、実行した。
もちろん学校では大きな問題となるが、その抵抗を津田も矢崎も辞めない。

徹底的に制御することを良い学校教育だと思い、権力を行使する教頭(野際陽子)。
津田や矢崎を潰そうとしている。
そんな彼女には、実は引きこもりの息子がいる。
この伏線で生まれくるエピソードにとても胸を打たれる。

最終回では今までお利口であることに務め上げていた生徒の暴動が起こる。
それにより、いじめる側、いじめられる側、教師も生徒も溶け合い、和になり、全ての人間に朝日という新しい光が訪れる。

心の底まで屈折している人間など1人もいない。そして、学校とは、教師とは、素晴らしい場所であり、かけがえのない職種であることを視聴者に鮮やかに提示し終わりを告げた。

現代では決して放送できないだろうが、この作品はどの世代も観るに値する、素晴らしい作品だと思う。

おまけ。
タイトルバックが大好きな松原弘志だった。
Relishi

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