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ふぞろいの林檎たちⅡのmasatのレビュー・感想・評価

ふぞろいの林檎たちⅡ(1985年製作のドラマ)
4.3
「I」に続いてビンジウォッチしてしまいました。
“何が幸せか?”を問うドラマと「I」の時に書いたが、それ以上に、“あなたは幸せですか?”“あなたは今、幸せですか?”を問うドラマだったという事が、「II」ではより一層迫ってきた。
学生時代が終わり、社会人一年目の3人を通して、いつもの11人に、柳沢慎吾扮の母とラーメン屋に雇う男、中井貴一の上司、時任三郎の上司が加わり、中心が15人に拡がる事によって、彼らの世界が少しずつ膨らんでいってる事がわかる。
彼らの周りの親がそして“大人”が何を考えているのか?という、それぞれに大きな壁にぶち当たる。そして、少しずつそれぞれが“何かに塗れて”大人になっていく。
そう、青春が終わっていくであろう翳りがドラマに射してくる。翳りが見える世界の最終話のタイトルは、「I」の
「胸を張っていますか?」
よりも辛辣な
「燃え上がることありますか?」
だ。13話の終わりに、それでも燃え上がるものはあるのか?を問われ、より胸に迫るエピローグを迎える。そこでの4組のカップルは、より不確かな表情を浮かべる。一体この先どうなっていくのか?を見る者に投げつける。まるで夢のような、そして悪夢のようでもあるラストの海辺は、今見ても、いや今だからこそ鮮烈な演出だった。
不確かな明日に向かう、青春の終わりの塊たち、船出こそしないが、できないが、再び、あの地味な列車に乗って、東京に戻るのみ。また同じであろう明日のために、少しずつ歩くしかない明日のために。

しかし、この2ndシーズンは、圧倒的に石原真理子が素晴らしい。彼女の演技のずば抜けた圧勝だった。さらに、今は亡き名優、室田日出男が如何に名優かを見せつけている。この二人の演技合戦のバーでのワンシーンの凄味。カメラとカッティングまでもが共鳴し、いつも以上に威力を増していた。

さて、「3」「4」がどうしても見たくなってしまうが、なぜ未だにDVDが発売されていないのだろうか?気難しそうな脚本家の許可が出ないのだろうか?
仕方ないので「ありふれた奇跡」を見てみることにしたい。
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