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蔵のnorisのレビュー・感想・評価

(1995年製作のドラマ)
4.0
95年のNHKBSドラマで、宮尾登美子の原作は92〜93年の毎日新聞連載。95年に浅野ゆう子(佐穂役)で映画化もされている。

大正〜昭和初期の越後を全3回で描く短いドラマだが(ところが今調べると全6回らしい。短縮版だったのか)、出づっぱりのヒロインは檀ふみ 。その姉を朝比奈彩乃 という謎の女優が演じている。稀に見る美貌に目を見張るが、その後の活動状況はわからず、引退したと思しい。残念なことである。

朝比奈が演じているのは短い少女時代だけで、越後の蔵元に嫁いだ後は#高橋惠子 が引き継ぐ。8回も出産したのに全部死産だったという高橋はすっかり伏せがちな半病人なのだが、9回目にようやく物語上のヒロイン烈を産んだものの、烈は視力が落ちていく病気に罹り(網膜色素変性症と説明される)、回復を祈願して越後三十三ヶ所観音札所巡礼の旅に出て客死する。ここまでで3回のうち1回。

烈の面倒を見させるために高橋が呼び寄せた妹を演じるのが檀ふみで、高橋は旅出前に「自分に何かあったら妹を後添えに」と遺言したのだが(そもそも当家に嫁ぐ予定だったのは妹の方だった)、当主(鹿賀丈史)は芸者(洞口依子)を後妻にしてしまう。その気になっていた檀は失意のあまり実家に戻るが、懐いていた烈にほだされて戻ってくる。ここまでが2回。

最終回では成長した烈を#松たか子 が演じる。松は病気の進行ですでに失明しているのだが、出入りの蔵人に恋してしまい、当主が決めた縁談を蔑ろにしてしまう。

一方、洞口はせっかく産んだ跡取りの男子が事故死して立場を失い、離縁を訴えるが鹿賀は承諾せず、昼から酒を飲む毎日を送り亡霊のように屋敷に暮らしている。壇は実質的な女当主にも関わらず名前のない立場を耐えて毎日を過ごす。松は蔵人への思いを募らせて結婚を許さない鹿賀を恨む。という3人の女優がそれぞれに悩むクライマックスから、最後は一気にハッピーエンドに終わるのは少々ご都合的だが、視聴者はすっかり檀ふみ(今で言うと黒木華だろう)に感情移入しているから、涙涙である。
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