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ER緊急救命室ⅩⅤ <ファイナル・シーズン>のMIDORIのレビュー・感想・評価

5.0
遂にファイナルシーズンです。他にもシーズンの長いドラマは観ていますが、ERはヒューマンドラマなので、一個シーンを見逃すと何が起きてそうなったのか訳わからなくなるので、全部観るのにとても時間がかかりました。私はERのグリーン先生・ベントン先生・ロス先生・カーター君・キャロル時代がめちゃくちゃ好きだったので、その全員が完全に降板したシーズン12以降は中弛みのようになりましたが、シーズン15ではそれぞれの新しい道を描いていて、ERの物語は私たち視聴者の中でまだ続いているような感覚を持たせてくれたことに感謝です。そして、海外ドラマのラストはズッコケるか大成功するかの両極端ですが、ERに関しては大成功です。視聴者の裏をかこうとして、裏をかく以上の大失敗になるケースもこれまで多々見てきましたが、ERのラストでは視聴者をビックリさせる驚きもありましたが、それが私たち視聴者の中でERがまだ続いていくことを表していて、カウンティーのERは永遠に続いていくんだなと感慨深かったです。(ファイナルシーズンのジャケット良すぎる!)ファイナルシーズン最終話では、シーズン13以降無くなってしまったあのオープニングシーンが復活!記念すべき1話で手術を成功させてガッツポーズするベントン先生や迷走神経反射を起こして入口で休んでいるカーター君など、今までのオープニングフィルムを使っていたことにも感動しました。

ER全シーズン通して良かったなと思うのは、キャスト選考が素晴らしかったです。レギュラーにしてもゲストにしても。ジョージ・クルーニー、ジュリアナ・マルグリース、ノア・ワイリーの発掘から始まり、ゲストも今見ると恐ろしく豪華。後にアカデミー賞やエミー賞、ゴールデングローブ賞などを獲得する人多数出演で、そういう俳優さんたちっていうのは、たった1エピソードのゲスト出演でも強烈なインパクトがありました。そういう少ないシーンでも全身全霊で演じるゲストが多かったからこそERは良いドラマになったのだろうなとも思います。シーズンファイナルは新規ゲスト少なめでしたが、“ロッキー”のカール・ウェザース、スーザン・サランドン、“ブラックリスト”のディエゴ・クラテンホフ、“キャロル”のルーニー・マーラ、“ギルモア・ガールズ”のアレクシス・ブレデル、“ロズウェル”のシリ・アップルビー、“NewGirl”のジュリアン・モリス。

ファイナルシーズンプレミアは、前回シーズンの最後に証人保護の患者を乗せた救急車が爆発するところからスタート。たまたまルカと待ち合わせをして病院に帰る途中だったアビーも爆発に巻き込まれましたが、救急車に同乗していたプラットが重症のケガを負います。血まみれになりながら、レジデントに指示を出すプラットの姿に涙が出そうでした。ERの区切りの一つとなったグリーン先生最終出勤日に初めて登場した生意気な医学生プラットは、シーズン15初回で次期ER部長確定になるまで成長を遂げたのです。長い間所在不明だった実父や同性愛者の異母弟、患者に同情して自分の検体を出して大騒動になったり、アフリカでの過酷な医療支援、教会での医療支援が思わぬ結果になったり、大変なことだらけでしたが、それらを乗り越えて人として大きく成長したプラットが好きでした。

3話ではアビーがルカとやり直すためにシカゴを離れることに。アビーはキャロルの出産で看護師として初登場しましたが、実は看護師は学費を稼ぐためのアルバイトで、実際は医学生でした。躁鬱病の母弟と消息不明の父がいるアビーは家族に頼ることもできず、離婚した旦那から学費支援が絶たれた後は自力で学費を貯めて、シーズン12で晴れてドクターになりました。前回シーズンにアビーの人間性をめちゃくちゃにする謎の演出がたくさんありましたが、過酷なERで看護師として働いていた経験がドクターになったアビーの強みとなって、ドクターになってからも臨機応変な対応が素晴らしかったです。アビーが最後の勤務の日にロッカーを片付けていると看護師のヘレーが来て、ちょっと来なさいと。そこには懐かしいメンバーの名札が壁に貼られていました。グリーン先生、ロス先生、ベントン先生、キャロルをはじめとする初期メンバーや、デル・アミコやマギー・ドイルやチェン、コーデイやロマノやケリー、戦死したガラントや事故で働けなくなったレイ、そしてプラットの名札も…。カーターのは無いのかアビーが聞いたら、政府の建物も汚したくないとのこと(笑)何ともカーターらしい。アビーはコバッチュとロックハートの名札を貼りつけました。にしても、シーズン序盤でアビーが病院を辞めていくのは想定外すぎて…。

5話では久々のレイ・バーネット!“ニキータ”のマイケル役で出演していた時期なので髭面で登場でした。レイといるときのニーラはめちゃくちゃ可愛いらしくて、サイモンと駆け引きしてる時のニーラと全然違う(笑)レイもレイで、ニーラといるときの目が幸せそうで、本当この二人大好きです。アビーが早々にいなくなったので、このシーズンのメインキャストは、モリス・ニーラ・トニー・サム・サイモンで、このシーズンでもモリスやニーラはインターンの指導に忙しいです。ニーラにはイケメンの医学生アンドリュー(ジュリアン・モリス)を外科医にするべく指導していますが、アンドリューが手術を失敗して遺族にそれを話してしまい、ニーラが訴えられてブチギレますが、そんなニーラを見たドゥベンコ先生が「ここは教育病院だ、指導されたことを返すところ!それが出来ないなら辞めなさい!」と珍しく怒ってニーラも反省…アンドリューに次からは部長たちに相談してねと言うのでした。12話はニーラの夢の中の話でしたが、これも夢?みたいなストーリー展開が面白かったです。このエピソードのとき、他の病院の面接に行ったニーラが扉を開くと、そこにはコーデイが!コーデイは再びアメリカで暮らしていたのです。オーストリアから帰ってきたサイモンと距離が近づき、サイモンの虜になっていくニーラ…最終的には自分の心が誰にあるのか気付いて、カウンティーを去ります。初期の頃は、コミュニケーション能力が全く無くて、そのコミュニケーション能力の無さで色んな問題が起きたり、指導医からも呆れられるレベルで、一度は医師を諦めてカウンティーの向かいにあるコンビニでバイトをしていました。その後、アビーたちの説得でカウンティー戻ってきた後は、ドゥベンコ先生の指導によって外科医として大きく成長し、インターンの未来を導けるまでになったニーラの姿に感動!アビーと同じようにヘレエに連れられて名札を壁に貼りに行ったときのニーラの思い出集が本当に泣けます。

ファイナルシーズンでは主演だったモリス。6話ではまだ医学部に入ったばかりのチャズを治療に参加させた結果、患者が危険な状態に陥り、ゲイツやバーンフィールドから怒られてしまいますが、正直に「友人だったプラットが忘れられない、あの日からピントがズレた」と告白したら意外にもモリスの気持ちに寄り添ってくれたバーンフィールド。モリスが入ったときからいつも指導してくれたプラット。プラットが断ったレジデントリーダーにモリスがなったり、面白くて楽しかったプラット×モリスの友情があんな事故で終わるとは。シーズン14では父を亡くし、治療中に強盗に銃を突きつけられたり、さらには良き指導者であり友人だったプラットを失ってドン底のモリスでしたが、仕事中は明るく振る舞うモリスが偉いなと思います。モリスが助けた潜入捜査官との恋愛も面白いですね。ER最終話のオープニングでは、ERシーズン1の1話のオープニングでグリーン先生がリディアに起こされるシーンのオマージュでモリスがリディアに起こされるところから始まりました。

7話ではこのシーズンからER部長として登場した鬼軍曹バーンフィールドの回想の中でグリーン先生が!数年前に家族で公園に行ったとき、息子が発作を起こして救急車で運ばれたのがカウンティーでした。救急車を開けたときに出迎えてくれたのはグリーン先生…治療に口を出すバーンフィールドに「今のあなたは母親だ、私たちに任せて」と。ケリーがERのあちこちでガミガミ口出ししていた時期なので、グリーン先生のいる処置室にケリーも来たり、受付のジェリーや腕を失ってない頃のロマノ。ドラマと私たち視聴者の中でグリーン先生はとっくの昔に亡くなって、もう二度と見ることは出来ないと思っていたところ、こんな形で見られるなんて…ファイナルシーズン良すぎます。学会後、大雪で足止めを食らってシカゴに帰れなくなったバーンフィールドとモリスの回も面白かったです。モリス絡みは大体面白い(というかモリス主演なので、面白いシーンや大事な告白をする回にいるのは殆どモリス)。厳しくも優しい、治療に関しても間違ったことを言ってないバーンフィールドはまるでケリーを思い出させます。

前回シーズンより突如登場したアンスポーの甥っ子で女たらしのサイモン・ブレナー。医学生と関係を持ったり、勢いでニーラと寝たり、SEXしているイメージしかありませんでしたが、このシーズンでようやくサイモンの過去等が分かってきました…性的暴行を受けていた過去があることなど。そういう子供時代の暗い過去があるため、女にはだらしないサイモンも子供に対しては超優しいです。子供の虐待や性的暴行疑惑になると物凄い勢いで疑惑の人に襲いかかっていて、サイモンを見ているとロス先生を思い出して、なかなか面白いキャラしてるので1シーズン弱しか見れなかったのは残念です。

あんなに仲良かったサムとトニーは、このシーズンで金欠のサム親子を迎える形で同棲を始めますが、サムが夜勤の日にトニーがサラとアレックスに勝手に外出許可を出して大事故に遭い、サラは骨折だけでしたが、アレックスは人工呼吸器を付けなければ生きられないほどの重症に。この事故をきっかけにトニーを信用できなくなったサムは別れを告げますが、サムもトニーも完全に嫌いになったわけではありませんでした。そこに登場した医学生ダリア(シリ・アップルビー)がトニーとワンナイトしたことで、サムの気持ちは完全に離れていくのです。カーターが帰ってきたとき、休憩室で「アビーとルカは元気?」と聞くカーターに「メールでは元気と言ってた」という二人の会話も歴史を感じさせますね…この二人はかつてアビーとルカと本気の交際をしていたので。

14話ではカウンティーの前にいたケガした老人を助けたモリス、トニー、サイモン。全身に癌が転移していると診断された女性の隣のベッドで寝かされていましたが、その女性の首にあった腫れを見て癌では無いと指摘するのです。半信半疑のサイモンたちでしたが、老人の指摘した病気と症状が合うことから治療したところ癌ではないことが判明。そして、かつてのER部長モーゲンスタンが久々に登場して、その老人の正体はカウンティーのERを創設した伝説の人物でした。延命を望まなかったため、現在のERメンバーに見守られて最期を迎えます。自分が病院に運ばれてからも患者を救ったこのエピソードは、カウンティーの歴史とERドクターたちが抱える責任感を感じさせました。

シーズン後半はなんといってもジョン・カーターの再登場でしょう。彼の登場で、シーズン15のレギュラー陣が一気に霞みました(笑)でもジョンを知っている人は殆ど病院を辞めていて、受付で「ジョン・カーターです」と名乗っても誰?と言われる始末。バンフィールドに無給で働かせてほしい(懐かしいカーターの無給勤務!)と言うと、いつからカウンティーにいたのか聞かれて「1994年に医学生として来てから」と答えたら、マーク・グリーンを知ってる?と。「恩師でした」と答えたら、すぐ働いてという会話を聞いていて、カウンティーのERにとってグリーン先生がいかに偉大だったのか…こうやって会話に出てくるだけでも嬉しいです。ER全シーズンの中でも強烈なインパクトがあったルーシー・ナイト刺殺事件のときにルーシーと現場に居合わせて刺されたカーター君は、その時に腎臓を片方失うのですが、長年のアフリカ支援によって一個しかない腎臓が殆ど機能しない状態に陥って移植が必要なほどになっていました。そして、カーター君が入院した移植手術の病院では恩師ベントン先生が勤務していました(もう全部泣ける…初期メンバー大好き…)。

このシーズンの中盤で救急車に激突した親子(実際は弟の子供で実子ではない)の母親のほうに心臓疾患があり、心臓移植を待つことに。シアトルで合致する心臓が見つかってニーラとサムが受け取りに行くと、そこではダグとキャロルが勤務していました!受け取り直前で脳死した青年の祖母が提供を拒んだため、同意を待っている間にシカゴの腎臓移植待ちの順位が上がり、カーターも移植を受けられることに。ダグが待合室のニーラとサムに声をかけてシカゴのどこなのか聞いたらカウンティーだと。「冗談だろ?そこでレジデントをしてたんだ」というダグは、ケリーは?スーザンは?ベントンは?と聞くが二人は知らない。逆にニーラたちは、ロックハートは?プラットは?と聞くが、ダグは知らず…ダグは割と序盤でいなくなってしまったので、知らないメンバーも多いんですね。移植のエピソードの初めの方でルーニー・マーラがゲスト出演。昔からめちゃくちゃ美人です。

カーターがカウンティーを辞める直前から始まったジョシュア・マカロ・カーター・センター設立計画はついに完了となって、最終話でセンターが完成します。カーターが最初にお披露目したのはケリーとスーザン。公式なお披露目会にはケリー、スーザン以外に、ベントン先生やコーデイも参加して、その後はカウンティーから来たレイチェルも合流しての同窓会。本当初期メンバー良いですね。

ラストシーンでは変電所爆発で大量の患者を迎えるところで終わり、ERの入口には医師や看護師が待機して出迎えました。モリスが全員に指示を出していて、まさに「君が中心になれ」の言葉通りとなり、たまたまER見学に付き添っていたカーターも治療に参加することになりますが、その様子を見ていたレイチェルに「Dr.Green! You coming!(ドクターグリーン、君も来なさい)」と。マーク・グリーン先生から始まったこのドラマは、反抗しまくりで言うことを聞かない娘だったレイチェルが成長して医学生となり、グリーン先生を目指してカウンティーに来たところで閉幕。グリーン先生がこのドラマにとってどれだけ偉大な存在だったかを感じさせられるラストに満足です。

全部見終わった後はもう一度最初から見たくなりました。
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