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親愛なる白人様 シーズン1のKSのレビュー・感想・評価

親愛なる白人様 シーズン1(2017年製作のドラマ)
4.0
アメリカの大学というコミュニティをアメリカの縮図として人種差別を描いた作品。

最近、『白人ナショナリズムーアメリカを揺るがす文化的反動ー』を読んだのですが、人種というモノは社会によって作られたと考える社会構築主義と捉えるか、血縁による遺伝子により人種というモノが存在すると考える人種現実主義と捉えるかで、本作の見え方は変わってくるだろうなと思った。

本作は、主人公が黒人と白人のダブルである事や、白人の彼氏がいる事など、“人種って何?”という大きなテーマと、でもそれだけでなくマイノリティとして社会から駒として使われていく様、マイノリティ内における差別的な目線なども描かれていて様々な視線が交差していく所が本作がこの問題に真剣に向き合った作品だなと思う。


一話ごとに主人公が違い、それぞれの視点、主観を中心に描く事で、差別における視点の違い、論点の違いを浮き彫りにする。特にライオネルの回は、マスメディアの役割や立ち位置も含めた話になっていて本作は基本的に全てキャンパス内での出来事だが、その外にある社会構造と規模の違いはあれど、問題の本質は一緒なのではないかと思わせる。



あと、本作では、怒っている相手に“chill”と言って、冷静なってという意味のセリフになっていた。coolより強い感覚があるのかなぁと思った。


それぞれの立場から浮かび上がる権力に重ねることの代償。最後の対話集会の様は、シナリオありきの日本の内閣がよくやるヤラセ会見のドラマ化を見せさせられているようだった。
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