ウシュアイア

大地の子のウシュアイアのレビュー・感想・評価

大地の子(1995年製作のドラマ)
4.8
中国残留孤児を描いた作品で、中国の影の部分である文革期や農村も描かれている。仕事でたまたま出会った日中のカウンターパート同士が実は親子だった、という展開は少し無理がある気がしたが、実の親と養父母の間、日本人と中国人のアイデンティティの間に揺れる戦争孤児の主人公、貧しいながらも心優しき身寄りのない日本人の子をわが子同然に育てる養父母の思い、中国残留孤児の苦悩、涙なしには見ることはできない。

あまり有名でない頃の上川隆也さん、実の父親役の仲代達矢さん、養父の朱旭さんの熱演は感動的だった。今の中国の状態を鑑みると『大地の子』のような作品は今では二度と書かれることはないだろうし、ドラマ化もされないことを考えると、なかなか貴重な作品だと思う。

子どもの頃に、片言の日本語を話す中年になった戦争孤児の方が家族と再会しているニュース映像を見た覚えがあるが、自分より若い世代になると、もうピンと来ないかもしれない。二世三世の世代になってもいろいろな問題がありながらも、中国残留孤児の存在が忘れ去られつつある昨今、こういう作品を通じて多くの人に知って欲しいものです。
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