akari

白線流しのakariのレビュー・感想・評価

白線流し(1996年製作のドラマ)
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「理屈なんて、もういいや。私はあの人が好きなのだ。なんだかすごく好きなのだ」
清楚で素朴な園子が好きでした。高校卒業を控えた主人公が夢を見つけるまでの物語。スピッツの歌がドラマに花を添えていました。展開は王道で、時代を感じます。そこが良いです。高校時代、その時期が特別なものだとは思っていませんでした。高校生も大人も関係なく全部同じだと思っていたけれど、過ぎ去ってみると高校生ってやっぱりどこか特別でした。
「ただ、気になるの。一言一言気になること言うの」門限を振り切って彼の元へと走る園子がすごく良かったです。なんで走ったかわからない。なぜ会いたかったのかもわからない。衝動的な二人の恋が同時に始まる瞬間でした。
いつもみんな揃って行動するのが若くて可愛いです。みんなと同じようにしているつもりが、いつの間にか私だけが諦めていた。自分のことを決めるべき時に決められるのはすごいことで、そんな周りに劣等感を抱く園子に共感できました。
事故で記憶を失った慎司。まどかが強気でいられたのは、どんなことも慎司と一緒に覚えていてわかってくれている、共有できていると思っていたからだろうなと思いました。失ってから初めて気づく大切を感じました。ラスト、一人で生きる道を選ぶまどかの強さがかっこよかったです。お別れのシーンで弱気なまどかを抱きしめる慎司に涙が出ました。
冬美がスカウトマンから今泣いてみろと指示されて、泣けなくて、スカウトマンが立ち去ってすぐに涙がはらはらっと溢れるシーンがすごすぎました。ドラマ史に残したい名シーンでした。
全員が優介を思って行動した第9話のラストが良かったです。悩む時は一緒に立ち止まって考えよう。友達っていいなと思います。思いつきでやってみよう!って本当にやる感じが懐かしかったです。急に馴れ馴れしい茅乃は可愛かったです。
渉が園子のことをよく知ったことでかけることができた言葉に感動しました。「いつかお前、天文台で自分は太陽じゃないって言ったよな。俺は太陽だと思う。お前太陽みたいだよ」これでいいのかなって思うかもしれないけど、いつも一緒にいたのにもう会えないかもしれないけど、ちゃんとここにいたんだよって。白線と書いた文字がそれを証明してくれます。こんなに寂しいのになんで卒業なんてあるのだろう。どうして人生に卒業はついて回るのだろう。人はいいことからも悪いことからも卒業していく。それでも卒業式の日は笑っていたような気がします。儚くて寂しくて懐かしい、良いドラマでした。
“やがて君は鳥になる
ボロボロの約束 胸に抱いて
悲しいこともある だけど夢は続く
目を伏せないで”
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