ながらみ御免

バリーのながらみ御免のレビュー・感想・評価

バリー(2018年製作のドラマ)
4.6
シーズン1の半ばまでは、それほど面白いとも思わなかったんです。まぁ惰性で観てもいいかな……くらい。ところがどっこい、その後の展開は各方面で予想を超えて捻れに捻れ、本格的にブラックコメディの様相を呈してきました。

転がる石が雪崩を引き起こすごとく、主人公バリーの純真と狂気が、周囲の人々の身勝手さと出会うとき、破滅的非喜劇がもたらされる。

『女の園の星』で松岡さんが描いてる漫画を思い出しましたよ。ハートフルを目指してるのにすぐ死、死んでる……

後半はかなり深刻な話になっていくけど、それはそれとして、バリーの天才的、いや魔術的殺人スキルは見物。

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最終話まで観たら Oh, wow. 途中から避けられない結末ではあったと思うけどしかし残念だ。
フュークスが全部悪いけど、最後の告白は全編通じて誰より真摯に感じられ、自分の奥底を覗いた上でそう言われちゃもう仕方ない……。Better Call Saul が怒りの物語なら、こちらは否認の物語。その登場人物でもトップクラスのクズが唯一人、否認を克服するとはね。

Slippin' Jimmy と Barry Berkman は個人的惜しまれる人物殿堂入り。

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ナタリー役の女優さん好きなのでもっと輝く出番あったらよかったな。