Rick

僕らは奇跡でできているのRickのレビュー・感想・評価

僕らは奇跡でできている(2018年製作のドラマ)
4.3
 謎だらけのこの世界で、最もわからないのは自分のことかもしれない。なんの奇跡のせいか、今たまたまここにいて、こんな人たちに囲まれて、こんな行動をして生きている。その要素がひとつでも違ったら、きっとまた全然違う今があるのだろう。でもだからこそ、自分のことへ目が向かない。いや、目を向けなくても済む。責任転嫁したり、見ないふりしたり、隠したりしながら、自信のない自分のことをなおざりにしてしまう。最も嫌いで、最低な所ばかり目について、それでいて一生離れることのできない相手と仲直りせずに暮らしてしまう。それは生きづらいに違いない。まずは好奇心の目を自分に向けてみよう。仲直りする努力をしてみよう。もちろん一朝一夕には無理だし、フラッシュバックだってすることもあるだろう。それでもウサギになるよりかは、亀の歩みでも先へ進めるはずだから。
 高橋一生は役に厚みと説得力を付与することのできる役者だと改めて思う。ただ迷惑であったり、エキセントリックなだけに見えてしまうような相河一輝という人を、より誠実で切実な、真理に向き合える人として魅せてくれる。そして純粋無垢なだけではなくて、人としての狡いところや至らないところも示してくれている。
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