シーズン1はドン・ドレイパーの謎がストーリーの屋台骨になっていた。シーズン2は前シーズンのような視聴者を惹きつける謎は無いがギリギリのバランスで成立していたドンとベティの夫婦関係が崩壊する過程を丁寧に描いている。人気ドラマのシーズン2にしてはかなり地味なテーマだが、人の名前を盗んでまで掴んだ幸せな家庭が台無しになっていく様は胸にくるものがある。残酷な家族崩壊の風景の間に7話の幸せな家族ピクニック、12話で明かされたベティと出会った直後のドンのピュアな思いなどがインサートされることでシーズン1にはなかったエモーショナルな魅力を生んでいる。
前シーズンに続き、アメリカン航空一便墜落、マリリンモンロー死去、キューバ危機と現実の大事件との連動も健在。特にダック・フィリップスの辣腕とドンの仕事に対する真摯な姿勢が見られるアメリカン航空を巡るドラマは本シーズン最大の見どころと言えるかもしれない。
それにしてもこのドラマでは普通に幸せに暮らしている人が全く出てこない…特に最悪な男と婚約してしまったジョーンには是非とも幸せになってもらいたい…。
