紅孔雀

アガサ・クリスティー 無実はさいなむの紅孔雀のレビュー・感想・評価

4.7
原作も傑作、ドラマもビル・ナイの名演で傑作になりました。
殺人が2件あって立派なミステリなのですが、登場人物達の心理描写だけ見れば、クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で発表した普通小説(例えば『春にして君を離れ』)を彷彿とさせます。特に冒頭殺される資産家レイチェルの造形が見事で、まさに“女王ありき”と言いたくなる存在感でした。言わば本作は、この“女王”の命令によって演じられた悲喜劇なのです。
PS: この後のレビュー(『検察側の証人』)で、本作について少し苦言を呈しているところがあります。前言を翻すようでスイマセン。
紅孔雀

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