岡田拓朗

「過保護のカホコ」2018 ラブ&ドリームの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

3.8
過保護のカホコ 2018ラブ&ドリーム

史上最強の箱入り娘が帰ってくる!

相変わらずカホコが愛に溢れていて、その愛を信じ切るカホコだからこそ、右往左往しながらも、全員を元通りに戻していく展開は今作でも健在でよく、愛おしかった。

人は普段、本当に伝えたいことや内心思っていることを伝えられずに(、いや伝えずに)、双方にわだかまりができたり、溝ができる。
言葉が心の裏に隠れてしまっている。

その裏には、伝えることを想像することで想起される恥ずかしさがあったり、嫌われることへの恐れがあったり、必要とされなくなることへの不安があったり、こう思われるんじゃないかという思い込みがあったり…しかもそれは様々な現実を知ることでより強く感じるようになる。

過保護に育てられたカホコは、(良くも悪くも知らないことが多いからこそ)完全なる性善説に立つことができ、あらゆる関係が愛を前提に成り立っていること、最終的に家族は愛し合う関係に帰着することを信じ切っているからこそ取れるあの行動であることを改めて感じた。

それがカホコらしさであり、カホコだからこそ与えられる周りへの影響。
でもそれが人の原点じゃないかなと。
相変わらず今作は、カホコが崩れていく人間関係をその心の深くにある想い(言葉)を呼び起こして、原点に立ち返らせてくれるドラマだなと思った。

自分の好きな歌(RADWIMPSの「愛し」)の中の歌詞の一節に、下記がある。
「誰かを愛せたあのときの気持ちでいつもいれたら
誰かを傷つける言葉もこの世にはなかっただろうなあ
満ちていて 枯れていて 心はいつも誰かを
突き放して また求めて いつも時のせいにして」

この作品の中で、カホコが不安定になるあらゆる家族や夫婦の問題を、カホコならではの影響力で結果的に愛に帰着して解決する流れを見て、イメージするのが上記の一節には詰められていて、最初の二行こそがまさにカホコな気がして、後の部分が崩れていくそれぞれの関係を生んでいる各位であるような気がする。

お互いの関係性の悪化に関しては、前提に愛があったとしても、それを伝えることを怠っていたり、本当は思ってないのに自分を優位につかせるために、自分の正しいの押しつけのために行うコミュニケーションの行き違いから生まれることが多い。
(そもそも話すべき根幹の部分を無視して解決できないわかり合うことができないゴールの見えない無駄なコミュニケーションを取り続けることがあると思う。)

基本的に「自分のために」が先に来ることは人間として仕方がないことで、自分もそうなってしまいがちではあるけど、そこでいかに相手のために行動することができるか、が円滑な関係を築いていけるポイントな気がする。

そこに関しては、お互いのやりたいことに対してのポジティブな応援とそれぞれが思い描いている集団でやらないと叶わないやりたいことを、どう両立させて、折り合いをつけていくかが大切だと感じた。

夫婦や家族の関係は、足の引っ張り合いにもなり得れば、相乗効果にもなり得るんだなということが改めてわかる。
築き続けることの困難さもそのよさも含めて、色々知れた。

そこに含めて、自分の幸せや正しさを押しつけ過ぎないこと、相手の考えを無視して自分の思い通りに動かそうとし過ぎないこと、相手の前提を勝手に決めつけないこと、やりたいことを闇雲に反対しないこと、良好な関係を築く上で大切なことが伝えられている。

それが全て愛を隠さずに伝えることで解決していくことに昇華される物語の愛おしさも健在で所々泣かされるシーンがあり、相変わらず素敵な作品だなーと思いました。

P.S.
ちなみにこのような関係はやっぱり結局根底に愛で繋がっていることそのもの(自分だけでなく相手のためをも思えている状態)がないと、成り立たないのは間違いなくある。
愛がない中では、関係を修復することは間違いなく厳しいと思うので、そうなってくると離婚を選択することが逆に健全であるとも思った。
カホコとハジメくんのやりとりめっちゃおもしろくて好きなんやけど、特にハジメくんの例えツッコミがもうツボすぎてそこはずっと笑ってた!笑
岡田拓朗

岡田拓朗