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第一容疑者のsyuheiのレビュー・感想・評価

第一容疑者(1991年製作のドラマ)
5.0
原題は"Prime Suspect"。『シャーロック・ホームズの冒険』のグラナダTVが制作を手掛け、1991年から2006年まで15年にわたって放送された刑事モノのテレビ映画。主演はヘレン・ミレンで本作でエミー賞を3回受賞したほか2003年にはDameの称号を受けた。全7エピソードだが日本ではナンバリングがズレる。

17歳で警察官となったジェーン・テニスン警部が圧倒的男性社会である警察組織の中で軋轢を受けながらも明晰な頭脳で難事件を次々に解決し出世していく。なにしろ15年かけているので最終エピソードでは引退間近の最後の事件が描かれる。リアルな捜査描写でロンドン警視庁の新人研修の教材となったほど。

刑事モノ、捜査モノというジャンルが昔から大好きな俺は推理小説が大好きだしファミコンでも『ポートピア連続殺人事件』『オホーツクに消ゆ』を何十回も遊んでいたほど。ゆえに本ドラマも大きな期待をもって観た。結論としては大傑作というほかない。アマプラで知るまで見逃していた自分が情けない。

各エピソードではそれぞれ異なる事件が描かれる。各事件には人種差別、同性愛差別、移民問題など現実世界の問題が色濃く投影されており見ごたえがある。と同時にジェーンという人間の人生模様、中年期に起こりがちな諸問題が克明に描かれ、主人公としてこれ以上ないほど魅力的でとても親近感を覚える。

ヘレン・ミレンが好きという人は絶対に観たほうがいい。もともとすごい俳優だとは思っていたがこれほどまでとは。表情の微細な変化、目線の動き、手つき、すべてがジェーン・テニスンという女性を形成し彼女の人生を物語っている。実在の人物としか思えない恐るべき説得力を放つ、圧巻の演技だ。

ジェーンは切れ者ながら組織の和を乱す問題児でもあり様々な署に転属される。その都度、彼女を取り囲む人々も変わるわけだが脇役ひとりひとりも存在感をもって描かれる。前半エピで登場した人物が後半で老け顔で再登場したりすると「あぁ、この人にも人生があったんだな」と感慨もひとしお。

エピソードの大半はそれぞれ90分の前後編に分かれており1つの事件が解決するまで3時間を要する。長すぎると思う人もいるだろうが事件や捜査に関わる人間模様が丹念かつ濃密に描かれているため事件が解決するたびに自分も捜査関係者のように「終わったか…」と息をついてコーヒーが飲みたくなるのだ。

イギリス英語のため聴き取りは途中で諦めたけど日本語字幕がとてもよく出来ており内容に集中できる。ワンシーンの言語的・非言語的情報量がとにかく多くて濃密、過去エピへの言及もあったりするので腰を据えて順番にじっくり観るのをおすすめしたい。さぁ、グズグズせずボスと共に事件現場へ急ごう。

https://x.com/syuhei/status/1762321731916796212?s=20
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