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101回目のプロポーズのmaroのレビュー・感想・評価

101回目のプロポーズ(1991年製作のドラマ)
5.0
 ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★★★★★★★

月9の“純愛三部作”の第3作目。
不朽の名作。
やっぱり面白い、面白すぎる。
思い出補正もあるかもしれないけど、ここ5~6年のドラマと比べたら圧倒的に面白かった。

正直、ツッコミどころは多い。
全12回、とにかくずーっと恋愛しかしてないんだから。
「他にやることあるだろ」って言いたくなるぐらい、「好きです」「無理です」の繰り返し。

でも、ずっと恋愛しかしてないから、変化がわかりやすいんだよね。
物語を楽しむポイントは、ストーリーやキャラクターの変化や成長だと思うんだけど、「恋愛」というひとつの行為に振り切っちゃってる分、その過程が如実に感じ取れる。

今のドラマって、ラブストーリー自体少ないけど、あったとしても恋愛一辺倒のものはなくて、仕事や趣味も混じってくる。
それは今のライフスタイルにマッチしてると思うんだけど、結局どっちも中途半端になってるんだよね。
『半沢直樹』が面白かったのって、あの顔芸祭りももちろんなんだけど、結局「ビジネス」という行為に振り切ってるからじゃないかな。
あれで恋愛色も出してきたら、ベクトルが分散しちゃって面白みに欠けたと思うんだよなあ。

このドラマですごくよかったのが、主人公である達郎(武田鉄矢)の目的がシンプルではっきりしていること。
「喉から手が出るほどお嫁さんが欲しい」
第1話でそう言ってるんだよ。
そのおかげで、このドラマは達郎が薫(浅野温子)を手に入れるまでのシンデレラストーリーだというのがわかる。

高学歴・高身長・高収入といういわゆる「3高」がもてはやされていた時代に、そのどれもがない40歳過ぎたおっさんが、100回目のお見合いで出会った美女に恋をして、ひたすらがんばる。
その姿が健気で、愛おしくて、何よりも必死で、メチャクチャ応援したくなるんだよ。

一方の薫は、かつて結婚式の当日に新郎を事故で亡くし、また人を好きになっていきなり失うことになるかもしれないのが怖いと、恋愛に臆病になっている状況。
だから、薫はずっと達郎の気持ちを拒否していた。
拒否していたんだけど、本当にちょっとずつ距離が縮まっていくのよ。
めげずに迫ってくる達郎に、少しずつ心を開いていって。
で、うまくいくかなと思ったら、物語の後半で、亡くなった新郎とそっくりな人物が現れて、また心かき乱されちゃったりしてね。
胸がキュンとしたよ、すべてに。

「僕は死にません!」のシーンとか号泣だから。
バラエティ番組とかであそこだけリピートされて、「僕は死にましぇん!」ってお笑いのネタになってるけど、いやいや、実際に観たらそんなんじゃないから。
薫がなぜ恋愛できないのかの理由が語られ、それでもそんな彼女を好きだと達郎が伝える感動シーンだから。
むしろ、「死にましぇん」とか言ってないし(あれはマスコミのせいだとかなんとか)。

他にも、達郎と弟の純平(江口洋介)とのやり取りもおかしくて。
恋愛は真面目なんだけど、この兄弟のやり取りだけコントかってぐらいお笑いに走ってて、それがまた笑える。
このシリアスとコメディのバランスもこのドラマを面白くさせてるんだろうな。

今から30年以上も前のドラマなので、いろいろ時代を感じる部分も多い。
メンズファッションは基本みんなパンツイン。
Tシャツもポロシャツも。
エキストラ含め喫煙してる人が多い。
人の外見に対する悪口、例えば「寄ってくるファンの子ってブスだよな」っていう今では絶対言わないようなセリフもある。
あと、当然だけどキャストがみんな若い。
江口洋介も石田ゆり子もまだ20代前半。
個人的には、最初に達郎の恋のライバルだった色白のイケメン好青年が、竹内力ってところが驚き(笑)

そんなわけで、特に片想い中の人はぜひ観て欲しい。
野島伸司の脚本ってだけあって、セリフのひとつひとつが心にグサグサ刺さる。
思わずメモったぐらい(笑)
主題歌のCHAGE&ASKAの『SAY YES』や劇中でよく使われるショパンの『別れの曲』も最高でした。

(2022.6.9追記)
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