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ボクらを見る目のSheのレビュー・感想・評価

ボクらを見る目(2019年製作のドラマ)
4.2
法が正しい力を持たず、司法が機能しないということの恐ろしさを目の当たりにした。

法執行機関は罪のない人を助ける場所だと当たり前に思い込んでいる。
何か理不尽なことが起きた時、自分に非がなければ、警察や検察はちゃんと話を聞いて守ってくれる正義の場所だと。
そんな人たちが当たり前のように不正を行い、捏造し、やっていない事を告白するよう強要し、罪のない人の生活・人生を奪うことが出来てしまっていた。
正義を為してくれるはずの機関・公平な立場にあるべき人に差別されるって、本当に絶望以外のなにものでもない。

4話のコーリーの話は観ているのが本当に辛かった。その日その場に居もしなく、被害に遭った女性が誰なのかさえ知らず、容疑者ですらなかったけど友達を支えるために連れ添いで向かったのに、レイプをした本人という1番重いポジションを背負わされることになるって、信じられない…。その時点でトラウマなのに、トラウマにトラウマが重なり続ける残酷さ。人間の世界と思いたくない。

恵まれた環境で普通に暮らしていると、差別的なことや理不尽な出来事があるにしても、個人の好みや価値観というスケールに留まることのできる問題のように思えてしまうけど、それはいざとなれば公平な場が助けてくれると思えるからであり、常識的な範囲で守られているからだと実感。このように法の力に頼れず、簡単に生命や人生に関わってしまう環境では、尊厳も何もないんだと思うと本当に恐ろしい。
自分が間違っていなくても、そんなことは何の力もない。

そして、冤罪はどこの国にも存在してると思うと、どうにもできない次元の話で虚無。
秩序を持たせるために法があるけど、人が社会で生きる以上完全なものは何もなく、その不完全さの穴からこぼれ落ちてしまう人達も居ること、認識しておかなければいけないと感じた。
公的な機関が助けられない人や命は沢山ある。

好きも嫌いも個人の自由だが、司法だけは、個人的な感情でこのような一方的な力が罷り通らない平等なものであってほしいと願うばかり。
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