TAMU

ボクらを見る目のTAMUのレビュー・感想・評価

ボクらを見る目(2019年製作のドラマ)
4.5
深い、そして描写がいちいち映画的で、ほぼ全編息苦しいのだけど美しい。
4部作の映画を見たかのよう。それぞれに主題があって完結しつつ、4話構成のドラマになってる。

実はまとまった時間が取りにくい上に、記憶力がおぼつかない(笑)のでシーズン何ちゃら的なドラマは避けておりましたが、本作は4話完結と知って鑑賞。

映画に比べてドラマは全般的にコメディ担当する役柄や度を越した悪役を担当する役柄など、色分けが強いように感じていましたが、これはバランスよく、連ドラ感を感じない。

実話を基にした、犯罪者に仕立て上げられた少年たちの行方を丁寧に描く。

映画であれば時間的な制約もあるので、自白に至る過程や、裁判における経緯、勾留中、出所後の生活、の一部にテーマを絞り込むのだろうが、本作では一話ごとにそこを深掘りする。

映画を見ていると、その後も見てみたい、で終わる良作に出会うことがあるが、本作はその後も観れる贅沢を満喫できる。

それだけでなく、人種差別、白人優位、女性の社会進出、ジェンダーなど現在にも通じる社会問題の現場を垣間見ることもできる。
更には実名でトランプを批判するくだりなど、何だかんだ言って、アメリカの底力を感じる。逆に日本は忖度気味なんだろうとも。

ストーリーは答えも出口も無い展開が続くため、見る側の精神力も試される。
特に3話で何も悪く無い家族を含めて崩壊していくさまが描かれ、正直、観てられない状況に追いこまれたが、現実社会を感じるリアリティーにしびれながら鑑賞を終了。

終わって改めて多くの方に見て欲しい。
そして今起きている現実に、何かを感じ取って欲しいと願ってやみません。
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