「言いたいことはトゥーマッチあるもんのう〜イェ〜」タレサンの笠智衆のドアップからはじまるのビックリしたー。移民と二世、戦争で分断される親子の魂が再び出会うマウイ島のお盆。倉本聰に武満徹、ハワイなのに陰影バキバキに攻めてくる実相寺監督（原知佐子も出てる）。家父長ないつもの笠智衆に呆けがきはじめて、死んだ妻の加藤治子の亡霊と対話しながら最後には赤子のように弱音はいておいおい泣くとこ素晴らしい。ラハイナ浄土院の墓参りで出会う息子（中井貴一）とのスピリチュアルな演出、自分の体験談を聞きにくるって言って延々待っても結局こなかったテレビ局の架空の撮影シーン、孫の石田えりのパーフェクトな水着姿、チャラい夫は石田純一、いろいろ最高。

制作は日テレ、スポンサーは西武グループで、竹人形の舞台に取り組む水上勉→藤幡正樹→指揮者の松尾葉子、CMの気合いが凄い。アップしてるお方に感謝いたします。

先日の日本フィル坂本龍一特集公演で『組曲《波の盆》より「フィナーレ」』を聴いたのがきっかけで観た。
ファクトばかりの現代でこれほどのファンタジーは受け入れられないかもしれない。死後の魂についてかなり久々に考えた。自分が歳取って現実的になりすぎたせいかも。
笠智衆の生まれが実家のすぐ近くだからか、喋る言葉が死んだじいちゃんとほぼ同じで無性に懐かしくなって会いたい。

国籍 戦争 家族 ふるさと いつかわかりあえる 男の弱さ 浄土信仰

お前さん、これを見なさい、と知り合いにDVDを押し付けられ鑑賞。
なんの前知識もなく、実相寺監督作品だから、くらいの緩さで鑑賞しましたが、これがまた良い話で・・・。
戦時中、これまで考えてもみなかったハワイに住んでいた日本人たちの苦悩、日本人なのかアメリカ人なのかとか、そんな苦しい時代を一緒に生きた妻への想いとか、それを暗くならず、時にはコミカルに描ききる。
スッキリしたりスカッとしたりするのではなく、かといって心が温かくなるわけでもないんだけど、良い物語に触れた時特有の妙な高揚感を味わえました。