木蘭

暗号探偵クラブ~女たちの殺人捜査~/ブレッチリー・サークル シーズン1の木蘭のレビュー・感想・評価

4.5
 戦時中は戦地に赴いた男性の穴を埋める様に女性が社会進出し、時には国の運命を背負う様な大役を担ったにもかかわらず、終戦とと共に、再び家の中へと押し込められようとした事に対する軋轢が多くの国で起きたのだが、それをミステリードラマの形で体現した作品。

 ヒロインたちは、戦時中、暗号解読という重要な任務を帯びて活躍したにも関わらず、戦後は守秘義務に縛られ自分の価値を評価して貰う事も叶わない。
 主婦として母として小さな世界に生きるか(それが悪い事では無いが)、外で働こうにも職は少なく、女性というだけで初めから軽くみられて不当な扱いを受ける。あまつさえ、性犯罪者は社会で最も弱い若い女性(と障害者)を次々と餌食にしている。
 どうしてそんな不当が、暴力が許される?私は許さない!というヒロインたちの強い義憤が伝わってくる、あの丘の上に立つシーンの四人の姿は心が震えるし、(男の自分が観ても)本当に格好いい。

 でも男から観ると、あの傷痍軍人の旦那さん、良い夫なんだよ。
 男だって環境や既存の価値観から自由には成れないだけど、一生懸命、妻を愛し理解しようとしていていじらしいのね。おじさん、泣いちゃった。

 テンポが速くて良い反面、ヒロインと犯人との推理戦に置いてきぼりにされる時があって、まぁ、天才同士の頭脳戦には凡人は付いてけないよねぇ・・・という、ザックリとした心持ちで鑑賞しました。
 超記憶力の持ち主ルーシーは、現代推理ドラマでPCが担う役回りを演じていて、なるほど、そういうキャラもありか!と新鮮でした。

 2008年の作品ながら「Me too」ムーブメントを先取りしたかの様な作品でした。
木蘭

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