Rick

ザ・ボーイズ シーズン1のRickのレビュー・感想・評価

ザ・ボーイズ シーズン1(2019年製作のドラマ)
4.8
 「誰がスーパーヒーローを管理し、監視するのか」アメコミ作品で何度となく問われてきたこの命題に、「答えは簡単、虚栄心と功名心、そして何よりも資本主義市場の神の見えざる手が全てを上手くまとめて取り繕ってくれるさ」と中指を突き立てるような最高のアンチヒーロードラマ。
 人智を超越するスーパーな力を持っていたら空想科学読本のような惨劇だって起こるし、チヤホヤされるから人格だって崩壊していくだろうし、その立場を守るためならばどんな汚い手段だって使うだろう。神のような最強の存在も、ただの人にしか見えなくなってくる。ワインスタイン的なショービズの世界でのし上がっていくためには、搾取も受け入れざるを得ないし、次第にそれが常態化してもいくだろう。
 けれども、そんな世界でのヒーローの意義とは?人を救いたいという純粋な思いやりや優しさまで、テレビの中のおままごとに成り下がって消費されてしまうのか?あまりに非道でえげつないこのドラマだからこそ、偽善ではない「善」の価値が際立っている。
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