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ザ・ボーイズ シーズン1のYOUのレビュー・感想・評価

ザ・ボーイズ シーズン1(2019年製作のドラマ)
4.0
ガース・エニスとダリック・ロバートソンによる同名のアメリカン・コミックを原作とする、2019年制作のドラマシリーズ。
巨大企業ヴォートに管理されたスーパーヒーローチーム「セブン」と、彼らを憎む自警団集団「ザ・ボーイズ」の姿が描かれます。初回からショッキングな形で意表を突かれ、気が付けば全話観終わっていました。本作に登場するヒーロー達は金と名声に毒されたエゴイストであり、ヴォート社は彼らをプロデュースする事で巨額の利益を得ていますが、これは「スーパーヒーローが実存する世界」をある意味”リアル”に描写しているとも言えますし、通常のヒーロー映画には無い居心地の悪さや妙な生々しさが常に漂っています。また劇中のスーパーヒーローはそれぞれ”現代のアメリカ社会”を象徴しており、それらがボーイズの面々や新人ヒーロー・スターライトの視点を通して徐々に浮き彫りとなる構成も面白いです。彼らが体現する社会の闇は、立場を利用したセクハラやパワハラ、事態の隠蔽、キリスト原理主義者による布教活動、ドラッグ中毒など多岐にわたりますが、その最たるものがセブンのリーダーであり最強の戦闘能力を誇るホームランダーです。スーパーマン+キャプテン・アメリカといった風貌ですが、中身は冷徹非道のナルシスト、更にマザコン、ズル賢い上に周囲への立ち振る舞いも上手く、終始最低最悪のクズっぷりが浴びるように堪能出来ます。しかし同時にこのホームランダーは真のスーパーマン的なカリスマ性も確実に兼ね備えたキャラクターとなっており、言動はどれも最悪ですが個人的にはやはり彼の発する圧倒的な風格やヒーローマインドをくすぐるようなカッコ良さも感じてしまいました。眼が光るだけでも死ぬほど怖ぇ。。。

本作が正統派ヒーロー作品に対する”皮肉なカウンター”としてここまで機能しているのは、MCUを始めアメコミヒーロー作品がかつてない程大衆化に成功している現代だからこそですし、この良くも悪くもの相互作用は若干複雑な心境にもなりますが、今の時代に相応しい、そして今の時代だからこそ作る意義のあるヒーロードラマとして、これは非常に見応えがある一作でした。この勢いでシーズン2も観てみようかと思います。




























































































































海洋生物と会話が可能なディープが個人的にはどうしても嫌いになれない。もちろん序盤は最低ですが、徐々に明らかとなる彼独自の悲哀が何とも不憫で大好きです。特に”イルカのシーン”は最高でした。
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