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ドゥーム・パトロールの都部のレビュー・感想・評価

ドゥーム・パトロール(2019年製作のドラマ)
4.0
落ちこぼれ達が自らを蝕む過去の傷と向き合いながら英雄的行動によって自己を確立する筋書きは、敬愛するジェームズ・ガン並びにトロマ映画の潮流と似通ったそれで、そういった意味で私の肌に非常に馴染む作品だった。

自己愛に酔い続ける人生の果てに家族を失って脳だけが残ったロボット。
時代ゆえに許されなかった同性愛の遺恨を胸に背負い続ける包帯男。
自己実現の方法としていた女優業をその能力ゆえに喪失した軟体女。
過去のトラウマから逃れるべく人格が64分割されてしまった少女。
間接的な母殺しを経て肉体の半分を機械化する事となったヒーロー。

そんな彼等が身を寄せ合い傷つけ合いながら擬似的な家族として少しずつ繋がりを得ていく物語は非常にエモーショナルであったし、自分なりのプロセスを辿ることで忌々しい過去と自分を受け入れていくという物語は映画と比較して潤沢な尺に恵まれたドラマだからこそ出来る、丹寧なセラピーの物語であるとも言える。

このイカれた物語のハイライト候補として上げるべき強烈なシークエンスは数多くあるが、そうした表面的なエキセントリックな演出の数々に対して何処までも現実的な葛藤を抱えた彼らの物語の全容こそが真に心に残るそれである。

また本作のヴィランとして存在する第四の壁を認識する者──Mr.ノーバディの語り手を兼ねた強烈なキャラクター性は非常に愉快で痛快な、この物語の大きな推進力を担うキャラクターであった事に否定の余地はないだろう。
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