山岡

スタートレック:ディープ・スペース・ナイン シーズン4の山岡のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

クリンゴンがカーデシアに侵攻するという衝撃的な衝撃的な事件から始まるシーズン4。シーズン3の時点で連邦/ベイジョー/カーデシア/ドミニオンなど多くの陣営が複雑に絡み合っている状況だったが、クリンゴンの動きにより完全にカオス状態に。事件が描かれるEP1『クリンゴンの暴挙』は90分の大ボリュームで、衝撃の展開と見応えのある戦闘シーンがふんだんに盛り込まれており、そのまま劇場版として公開できそうな高品質なものとなっている。TNGで積み上げてきたクリンゴンとの平和の絆が一瞬にして崩れていく衝撃は時勢的にロシアのウクライナ侵攻を連想せざるを得ない…。

そのEP1でDS9に移籍してきたウォーフはTNGと変わらずの堅物ぶりでコメディリリーフとして活躍。また、やや固定化してきた感のあるクルーの関係性の変化に寄与してくれそうな感がある。

EP1以外では、EP10・EP11 と2話に渡って放送された「地球戒厳令」が印象深かった。惑星連邦の提督であるレイトンが日和見の政府に剛を煮やし軍事クーデターを起こそうとするエピソードで、『機動警察パトレイバー 2 the Movie』のようなポリティカルサスペンスとなっている。冷戦後のアメリカにとってはクリンゴン帝国やカーデシア帝国のような大国との睨み合いよりも、見えない敵である可変種との戦いの方がテロリストとの戦争を想起させ、当時とてもリアルに感じられたのかもしれないと思った。シスコのルーツ、ニューオリンズが描かれるのも良いスパイスとなっていた。

その他、クワークが1947年のアメリカにタイムスリップしてロズウェル事件の原因となる爆笑必至のEP7「フェレンギ人囚わる」やセットや音楽までこだわり抜いた009パロディ回のEP9「ドクター・ノア」などコメディ路線のエピソードも充実していた。

クリンゴンのカーデシア侵攻により、これまで物語の一つの軸となっていた連邦とカーデシアの対立は無くなってしまったが、ドミニオンとの戦いが加速しそうな感もあり、シーズン5以降も非常に楽しみだ。
山岡

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