ほぼ原作をそのまま起こしたような脚本を、斎藤光正がやや過剰ながら前衛的な演出で彩る。『金田一少年』や『TRICK』なんかでの堤幸彦演出は、市川崑より斎藤光正に近いかも。
何かがいつも手前にあるような構図。鐘を中心に円座になって念仏となえている場面や、嘉右衛門・臨終場面での三長老の顔の距離は結構シュール。唐突に三味線などの和楽器の音がフラッシュインする。人によっては好みが分かれる演出が頻発。
脚色は幕切れと、放送コードの問題から変更された与三松関係の部分は良いが、全体的に凡庸。
中村翫右衛門と河原崎國太郎、金子信雄、滝沢修と並ぶのが凄い。島村佳江、浜木綿子ら女優陣もこの4人の迫力には負けてしまう。
