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さとうきび畑の唄のPAOのレビュー・感想・評価

さとうきび畑の唄(2003年製作のドラマ)
4.4
テレビで放送された当時、まだ10代だった私は人生で初めて戦争という愚行を本当の意味で理解し、憤り、強く歴史を呪った。
当時は学生だったし「なんか楽しい事ないかな〜」とか思いながらなんとなく毎日を消化してて平凡な日常に嫌気がさすこともあったけど「なにも起こらない」生活がどれだけ豊かなのかをまだ10代だった若造ながらに感じて、本当に悔しくて悲しくて大号泣した。
10年以上経った今でも思い出すだけで涙が出てしまう。
さんまさんの演じた父は自分が苦しい中でも、人を笑顔にしようと懸命にまわりを励まし続ける優しくて人想いな人だった。
それをみて、私も人として生まれた以上、誰かを幸せにしたい、誰かを笑顔にできる存在になりたいと思ったし、こんなにも悲しい出来事は絶対に繰り返してはいけないと子供ながらに強く思った。
悔しいけど、大きな力が動かしている戦争を個人の小さな力が集まったとて、止められないかもしれない。本当に悔しいけど。
でも個人でもできる事は確かにある。
それはちゃんと戦争による事実を「知る」こと。「無関心にならない」こと。そして「加担しない」こと。
こういう作品を通じて、そういう人を1人でも多く生む事がまずは犯罪抑止になるし、政治に関心を持つきっかけには絶対になる。
政治に関心を持って選挙に行く人を1人でも多くする事は、安保法案の理解などにも繋がるだろうし、なんやかんや戦争を産まない抑止効果には微力ながら繋がる。
日本は歴史と政治に無関心すぎるけど、これは偶発的に発生した結果だとは思わない。
なんかしらによって徐々に鈍化させる為に必然的に生まれた問題だと思ってる。
歴史学者トインビーは「自国の歴史を忘れた民族は100年以内に滅びる」といっている。
戦争が生んだ多くの人々の悲しみは日本人は全員絶対に知ってないといけないし、私が本作を観て感じたような想いの連鎖は途絶えさせてはいけないと思うから、今の若い世代にも本当にみて欲しいと思う。
過去の作品の再放送もまたテレビで放送して欲しいけど、改めてキャストをリニューアルしたものも是非切望する。
当時の私は、上戸彩さんとさんまさんが出てるから観ようといった軽い気持ちで観た覚えがある。
今の若い世代にも広くこの作品に触れて欲しいからこそ、今の時代に大きな影響力を持つキャスティングでリバイバルしてほしい。
戦争で得られる幸せと、戦争で失う幸せとを天秤にかけたとき前者が優った歴史は絶対にない。
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