しおり

イン・トリートメント/セラピスト ブルック・テイラーのしおりのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

セラピストの主人公が、主に3人の患者とのセッションを通して
コロナ禍のアメリカで悩み苦しみながら問題に向き合おうと葛藤する物語。

終始セッションを覗いているような演出なので
とても生々しくて患者やセラピストそれぞれの苦悩に飲み込まれそうになります。
エミー賞ノミネートというのも納得。

少しずつ判明していく主人公の深い悩みや抱えている傷の描写が絶妙。
患者一人一人の悩みや苦しみをどう解決していくのかが気になって、話数を飛ばして観たくなるんだけど
主人公の秘密は話数に沿って少しずつ明かされていくので
まるで彼らと同じ時間軸を生きているように観進めていくしかなくてそこもまたハマるポイント。

主人公のブルック、昼間は患者と真摯に向き合い
彼らの人生がより良くなるように導くプロフェッショナルっぷりがカッコいいんですが
だからこそ、独りになった時の悩みや苦しみの演技はもう鳥肌ものです。

LAの高級住宅地に素敵な家を構えて1人で住む、成功している40代の未婚黒人女性という
側から見ただけでしかわからない表面的な評価に周りが勝手にレッテルを貼り、
「先生にはわからない」「賢くて何の不自由もなく暮らしている先生なんて」ととにかく患者やその家族に言われまくるのがもう観ていてつらくて…。
彼女だって大変なのに!自分を律して何とかセッションの場に臨んでいるけれど、ほんとうはものすごく辛いんだよー!と抱きしめてあげたくなります。

メンタルヘルスに問題を抱えていると、人に優しくできないだけでなく
勝手に自分を卑下して相手を妬みがちになるんですよね。
それでも冷静にプロフェッショナルとして対応し、決して見放さないブルックは凄いけれど
きっと患者からの色んな言葉の影響は少しずつ彼女の心に蓄積されていて
プライベートがぐらつくんだろうなぁとも思いました。
セラピストって本当に大変なお仕事…。
転移っていう言葉がテーマのような回もあって、ブルック自身が患者に対して転移の感情を抱いたことを認めるセリフも出てきます。
人間だもの、仕方ないよそれは…。

シーズン2がありそうな演出だったので、とても楽しみです。
しおり

しおり