kkkのk太郎

マインドハンター シーズン1のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

マインドハンター シーズン1(2017年製作のドラマ)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

1970年代後半のアメリカを舞台に、猟奇殺人犯の研究を行うFBI捜査官の姿を描いたサスペンス・スリラー。

1・2・9・10話の監督を『セブン』『ゴーン・ガール』の、名匠デヴィッド・フィンチャーが担当している。

Netflixオリジナルドラマ。
何気に製作総指揮にシャーリーズ・セロンが参加していたりする、かなり豪華な作品。

主人公はサイコパスやソシオパスを研究するFBIのユニット、「行動科学課」に属するホールデン・フォード。
彼が収監中の猟奇殺人犯たちに聞き取り調査を行い、その内容を分析することにより犯罪真理を探求し、その調査結果を現在捜査中の猟奇殺人の解決に活かす、というのが大まかな流れ。
まぁ要するに『羊たちの沈黙』っぽい感じです。

というか、実はこの作品は『羊たちの沈黙』の前日譚のようなもの。
というのも、本作の主人公であるホールデンと、『羊たちの沈黙』の主人公クラリスの上司であるクロフォード主任捜査官は、共にジョン・E・ダグラスという実在のFBI捜査官/プロファイラーをモデルに創造されたキャラクター。
このジョン・E・ダグラスは、ロバート・K・レスラー(ホールデンの相棒であるビル・テンチのモデル)と共にサイコパスの研究を始めた人物。
このドラマは史実をベースに構成されているのです。
余談だけど、本作の10年後くらいに『羊沈』事件が発生する、とか考えると結構胸熱。

このドラマ、第1シーズンは完全に種まきの段階。
猟奇的殺人事件解決のためにハンニバル・レクターに助けを求める、的なサスペンスな展開を求めていると完全に肩透かしをくらう。
殺人事件は3つくらいしか起こらないし、そのいずれも割とあっさり解決。ミステリー的な面白さはほぼない。
基本的には行動科学課の成り立ちみたいなものを追っかけていくドラマとなっている。

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という有名なニーチェの格言。
ロバート・K・レスラーはこれを度々口にしていたらしいのだが、本作で描かれているのもまさにこれ。
サイコパスとの交流により、だんだんと精神を蝕まれていくホールデンとビル。
特にホールデンは自分も狂気の沙汰の一歩手前にまでいってしまう。
最終話のあの緊張感、あれは凄まじかった…😱
流石鬼才デヴィッド・フィンチャー。『セブン』を作った男なだけありますわ。

とまぁ、ミステリーというよりはサイコ・スリラーといった感じのドラマなのだが、ちょっとスロースターター過ぎる気はする。
目玉となる猟奇的連続殺人が発生しないので、一体何を観させられているんだ?という気持ちがしないでもない。
せっかくデヴィッド・フィンチャー×サイコパスなんだから、それこそ『セブン』的な連続殺人が発生して、それの捜査にホールデンとビルが乗り出すみたいなのが観たかったっすわ。

70年代感溢れる劇伴は最高✨
特にトーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」はサイコー!

全体的に好みの雰囲気ではあるんだけど、この第1シーズンだけで判断するなら期待はずれって感じ…。
今後面白くなりそうな予感はするので、第2シーズンで化けてくれることを祈ろうかな。
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