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マインドハンター シーズン2のTaiRaのレビュー・感想・評価

マインドハンター シーズン2(2018年製作のドラマ)
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新シーズン棚上げで、もうこれでお終いかもしれないと思うともったいない。フィンチャーの監督回は特に傑作。

シーズン1は主にホールデンが中心で描かれていた。殺人鬼たちと呼応する様にホールデンの女性嫌悪が顕在化して行く話。登場するのは、女性を標的にした白人男性の殺人鬼たち。一方で今回のシーズンは、後半のアトランタ児童連続殺人事件がそうである様に、マイノリティがマイノリティを殺す事件が扱われる。調査でも同性愛者の殺人鬼が多く登場する。同時にウェンディのセクシャリティも明かされる。テーマはマイノリティ。劇中でもある様に、KKKが黒人少年たちを殺している方が納まりが良いと皆考える。単純化された差別の形に押し込めて安心する。現実はそう単純じゃない。突如生まれた怪物のような「異常者」が異様な殺人を犯した、とすれば「普通の人」は安全圏にいられる。だが、話が進む内に狂ってるのはこの世界そのものではないかと思えて来る。そもそも正常も異常も存在するのか怪しい。チャールズ・マンソン登場へ周到に準備されたビルのドラマ。カウンターカルチャーの副産物としてのマンソンに、社会=父親=ビルの欺瞞性を指摘させる。社会の規定する正常とは。「マンソンは口だけのペテン師」と散々振っておきながら、いざ登場するとちゃんと恐ろしい人間に見えるのが良い。マンソンファミリーのテックスも登場して何が真か揺さぶるのも。フィンチャーのやりたい事を一番表現出来る題材が『マインドハンター』だったと思うので、出来ればシーズン3以降も観たい。
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