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アイ・ラブ・ディックのNMのレビュー・感想・評価

アイ・ラブ・ディック(2016年製作のドラマ)
3.0
表紙のケヴィン・ベーコンがディック。カリスマ芸術家。
ある夫婦が彼との出会いによって奇妙な関係を築いていく。

「あるある」「わかるわかる」という展開は少なく、マジで?そうか?という感想ばかりで納得してほっこりするような作品ではない。観た後は大抵「?」となる。

妻は映画監督だが仕事ぶりは冴えない。しかし自分が女性だから不利な扱いを受けていると思っていそうな発言。自分の改善点を見つめない。

それまで夫婦関係はいまいちだったが、妻がディックに一目ぼれしたことにより、刺激となってかえって夫婦関係が変化していく不思議な展開。
だがそれで得た円満は簡単には続かない。

妻は社会との関係構築が苦手そうな態度。感情を制御できない様子で、ディックの前でもかなりおかしな態度を取ってしまい引かれる。30代らしいが子どものような性格。思い付きで突発的な行動を取っては後始末に追われる。

振り回される夫。しかしこういう妻に引かれたからには彼にも変わったところがありそう。妻のせいでいざこざが多くても最後には彼女に負けてしまう。もっともらしくとんでもないことを言う。結局変わり者夫婦。

彼女にドン引きしていたディックだが、徐々に夫婦の見方が変化していく。
7話あたりでぐっと変わる。今度は妻のほうがブレーキを踏んだりしていて本当に行動が読めない。

妻は変人、という目で観ていくことになるが、S1-5話で変わった女性と呼ばれた数名が自分を語っていく回を観ると、言うほど変わっているか?多かれ少なかれそんなような体験や考えはみんな持っているのでは?と感じられ、妻はそこまで特別な女性にも思えなくなる。
今後人物の見方がどう変化していくのか楽しみ。

夫婦の家の管理人役ロバータ・コリンドレスが凛々しくて目を引く。
彼女と恋愛関係になるBobbi Salvör Menuezも女性として美しく且つクール。

監督は『トランスペアレント』で人気になった。本作もそれに続いて高評価ながら新型コロナの影響もあってかシーズン2で打ち切り。

音楽がとても良い。


メモ
ジョージ・キューカー……アメリカの監督。若草物語等。発音は人によってクューカーとも。
フリーダとディエゴ……美術家フリーダ・カーロと夫の画家ディエゴ・リベラ。自由な関係で先鋭的夫婦の象徴。
『シド・アンド・ナンシー』……シド・ヴィシャスと彼の恋人ナンシー・スパンゲン、およびその二人を描いた映画。
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