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全裸監督 シーズン2の傘籤のレビュー・感想・評価

全裸監督 シーズン2(2021年製作のドラマ)
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AVの帝王と呼ばれた男の栄枯盛衰物語。シーズン1では村西とおるがAV業界で才能を開花させ、仲間を集め、名をあげていく成功譚だったのに対し、シーズン2ではそのまったく逆の展開を見せていきます。衛星放送という事業にこだわるあまり、人を使い捨て、法律を犯し、ヤクザから金を借り、何もかもが彼の元から失われていく。なぜ彼がそれほどバカな行為に走ってしまったかと言えば、彼はエポックな存在ではあったものの、「一番になったことがない」という呪縛に囚われていたからだ。それでも彼の魅力にあらがうことが出来ない者たちは多くいて、後半になればなるほど話は息苦しく悲惨な方向に進んでいくこととなる。これがフィクションであれば、どれほど良かったか。しかしこれは実話を元にしたドラマだ(時系列を変えたり、脚色してる部分はもちろんあるだろうが)。そのため村西とおるに”裏切られた”人たちは実在しているわけで、そう考えるとかかわった人たちが不憫でならない。それでもちょっとばかり救いを感じるのは彼から離れた者たちがそれぞれ仲良くつるんで行動していたり、彼の影響でなんらかの才能を開花させてもいて、そういう人たちの姿をみていると、悪いことばかりではなかったのだなと感じる。
また、シーズン2においてもキャストの熱演は見所で、恒松祐里や満島真之介など若手の俳優たちの演技にも力が入っていた。
誰もが抗えない魅力を持った「エロ」を追い続け、どん底まで墜ちて、なお泥臭く転げ回りながら生きた男(まだ死んでないが)。「AV」という地上波では到底不可能な題材に焦点を当てたという点で斬新だったし、80~90年代の時代の空気感を捉えた撮影にも好感が持てた。
エンディングではボブ・ディランの「Like a Rolling Stone」が象徴的に流れ幕を閉じる。AV業界にセンセーションを起こした男のドラマ、堪能しました。
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