手放しで絶賛するほどおもしろくはなかったし、過激でもないし、新しくもなかった。
その時代に在った姿を映す、残すということは大切だと思うので、日本の、昭和のAV黎明期を映した作品というなら今の時代の価値観にそぐわない男尊女卑の姿が画面上にあって然るべきだと思う。そこをやんや言う気はない。
ただ、それをやるならば、特に実在した人物を実名（もしくは実際に使用していた芸名）で使い実話を元にしてやるならば、ことさら誠実に製作すべきだったのでは。
AVに出演していた過去を隠しOLをしていた元AV女優がその過去が明るみになったことで仕事を首になり村西らの元に怒り心頭で姿を現したシーンがあった。
そんなシーンを作っておきながら、なぜ今は一般人として静かに暮らすことを希望した女性の現役時代を無許可で映すのか。
ドキュメンタリーじゃない、フィクションだから許されるのか？
おもしろいからいいのか？
それではあまりにも暴力的ではないだろうか。
AV業界の実態も、また村西監督の実態も、おそらくもっと酷かったのではないかと思う。その酷さをとっぱらい柔らかくしエンタメ化させたのが今作なのだろうが、特に男女平等が訴えられるこの時代にこの題材で、この業界で傷ついた女性が大勢いたであろうとてもセンシティブな実態を元にエンタメ作品を作るならそれを作るリスクを含めた責任が伴う。
ただ、おもしろければいい。
は子供でありアマチュアだ。
製作陣だけでなく観る方にも、似たような責任は伴うのではと思う。
宣伝の仕方を含め、あまりにも不誠実では？と思わされる点が多く、私にとっては内容が仮に絶賛するほどおもしろかったとしても手放しでスコア5つけて褒められない作品であった。
