Nella

ナルコス:メキシコ編 シーズン2のNellaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

S2の見所と言えば間違いなくイザベラとエネディナのシスターフッドなんだけど、その前にオタク特有の気持ち悪い長い感想を言いたいシーンがある。
S3の感想で、ティフアナとシナロアのビーフはS3から(年代的には90年代に入ってから)激化したように書いてしまったが、実際にはS2で通行税が原因で既に始まっていた。その発端とも言えるのがクラブ•ロクサーヌでの乱闘シーンで、100万回ぐらいアホみたいに再生してしまったが、あそこの「理想のヤクザ物」感は素晴らしい。ていうかもう、ラモン•アレジャノ•フェリックスがひたすら可愛い。「兄貴の出所祝いを邪魔しやがって」とチャポ達にイキってガンくれにいくのも可愛すぎて全然迫力がないし、席に戻った時ディナ姉さんに襟足辺りを、犬みたいに雑にヨシヨシされるのも可愛い。スタイル良いせいか殴られ方まで美しいし。
この時の喧嘩で左目を失明しかけて、「シナロア男」の暗喩である「魚」(出典Reddit)を魔改造AK47で撃ちまくるなど奇行に走り始め、敵のお気に入りの楽団員達を鉈で切り刻んだりと、どんどんおかしくなっていく。ヤンマガの漫画に出てきそうな狂犬キャラだ。元々アタリや任◯堂の筐体持ってる程ゲーム好きなので、段々ゲームと現実の区別がつかなくなっていったのかも、みたいな狂気の表現がとても良い。
もっと言いたいけどこの辺にします。あ、あと乱闘直前にダビド•バロン•コロナを登場させる采配もたまらんですね。

イザベラ•バウティスタはモデルはいるが一応、架空のキャラである。最初は、史実だと男ばかりで華がないから架空の女性キャラを作ったのかな?とありがちな想像をしてたけど、架空でも女ナルコを登場させたことで物語に深みが出たと思う。
幼馴染のミゲルに気があるようだったけど、フラれてからはビジネスパートナーとして一歩引いて接していた。彼女は「コロンビア人好みの丸い尻だ」とセクハラされた時に微妙な顔をしたり、女に対し非人道的なエナオと会うと手を洗いたくなる…など、意外と潔癖でプライドが高い。(コロンビア編S3でエナオがマリア•サラザールをどうしたか想像してみて欲しい)
こんなに繊細では、体ひとつでファルコンのグルーピーに成り上がるまでに相当傷ついたと思う。だから、ミゲルが彼女を対等に扱わなかったことが許せなかったのだ。女であることを利用し簡単に切り捨てた、絶対許さない、というメラメラした情念が、メイクを半分落として泣くだけのシーンに集約されている。思えばミゲルはあちこちに愛人がいるのに、イザベラだけは勘弁というのも彼女が娼婦だからではないか。素顔は幼馴染だった頃と少しも変わらないのに。そういうシーンだと思う。
(しかしイザベラは裏社会のトップに顔が効いて交渉上手で、ミゲル周辺の女の中では一番有能なのに、愛や金を惜しんだのがミゲルの最大の敗因だなあと思う)
そのイザベラの復讐劇に手を貸したのがエネディナ•アレジャノ•フェリックスである。(余談だがアレジャノ•フェリックスとミゲルアンヘル•フェリックス•ガヤルドは血縁関係で、ビーフはなかったらしいです出典Reddit)
彼女も彼女なりの理由でミゲルが邪魔であり、家族という男社会で密かに苦しんでいた。彼女は物事を冷静に客観視できる、非常に頭の良い女性で、権力志向も強い。S3でマヨに「それは家族の総意か?」と聞かれた時に、迷う長兄パンチョを無視して「そうよ」と言い切る。兄ベンハミンはお飾りで、不在ならボスは自分だという自覚もある。
イザベラに手切れ金を渡し、暴力担当の弟の存在をチラつかせる、あの別れのシーンでは、エネディナの「所詮女にはこの程度のことしかできない」みたいな諦めを感じて辛くなるし、彼女もある意味イザベラを利用した、と思うと本当にしんどい。架空なので、あまり先まで登場させるのは難しいだろうと思ってたけど、こんな退場ありか…「悲恋」て感じの終わり方だ。
イザベラ役のテレサ•ルイズさんはNetflix作品に次々出ているので、この役でブレイクしたのかも。素晴らしい演技力なので注目して見て欲しい。
まだ言いたいことあるけど長くなりすぎなので、この辺で。

おまけ•全然触れてないけどウォルト側DEAチームのわちゃわちゃした可愛さも大好きだし、アコスタミミのラブラブバカップルも大好きだし、それに振り回されるアマドも大好き。みんなキャラクターとしては大好き。
だからこそ毎回、何でこんな悲惨な結末に…となる。人生のとりかえしのつかなさが沁みる。麻薬密売人になんかなるもんじゃないね
Nella

Nella