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マンダロリアン シーズン2のMASHのレビュー・感想・評価

マンダロリアン シーズン2(2020年製作のドラマ)
4.0
『マンダロリアン』ついに完結。シーズン2とドラマとしては短い方だが、その中に素晴らしいキャラクターたちの新しい物語、そしてスター・ウォーズの世界観を堪能できる作品になっていたと言える。シークエルに入り絶賛されたりボロクソに言われたりもしたスター・ウォーズだが(個人的にはシークエルは良かったと思う派です)、『マンダロリアン』はほとんどのファンに受け入れられたというのも納得である。

このドラマで誰しもが絶賛するのは、おそらくペドロ・パスカル演じる主人公のマンダロリアンの存在だろう。これはシーズン1も含めて言えることだが、常に顔を隠した状態での演技にもかかわらず、徐々に変わっていくマンダロリアンの内面を演じたのは素晴らしいの一言である。「マスクを脱がない」という彼の頑なな考えが、ザ・チャイルドとの出会いにより徐々に自分にとって大切なものに気づいていく。その過程における戸惑いや覚悟がマスク越しにも伝わり、いざ彼がマスクを脱いだときには素顔が見れたという単純な感想ではなく、そこに秘められた彼の想いが観客の胸を打つのだ。

正直このシーズン2はドラマとして全てが良かったとは言い難い。エピソードごとのムラがとにかく激しいのだ。シーズン1は昔の西部劇番組をオマージュした1話完結型のシーズンという明確な方向性があった。だが、シーズン2ではその1話完結型が悪い方向に働いていると感じた。特にチャプター9~12、人気の高いチャプター13も個人的には少し微妙だった。なぜなら、どのエピソードもマンダロリアンが情報を得る代わりに関係のない手伝いをさせられると言う内容だからだ。一応ファイナルシーズンなんだから1話完結型に拘らず、もっとマンダロリアンやザ・チャイルドの過去を掘り下げていく繋がりのある物語であっても良かったのでは。マンダロリアンがたらい回しを喰らっている感が否めない。

だが、ラスト3話はとにかく面白い。全チャプターをランク付けしたとしてもこの3話は全て上位に食い込むだろう。まず、ロバート・ロドリゲスが担当したチャプター14で、懐かしのキャラが出ただけではなく最高のアクションも見せてくれる。殴られて無惨に潰れたストームトルーパーの顔が映る貴重なショットまで。そこから物語は一気に加速して、それまで出てきたキャラの助けと共に壮大な救出作戦が始まる。チャプター15でマンダロリアンが自分の信仰が揺るぎ始めるのを感じ、彼が取ったある行動は観ている者の心も掻き乱してくる。そして最終話。ダークセイバーやらなんちゃらという余計なものもあるが、これ以上ない満足感の得られるエピソードだ。あのキャラの登場にも興奮したが、それ以上に最後のマンダロリアンの表情こそこのドラマの全てだろう。

ドラマとして完璧ではないにしろ、ここで描かれたマンダロリアンの物語からはスター・ウォーズがなぜ愛されているのかというものを強く感じられた。壮大な宇宙戦争とかかっこいいアクションとかも楽しみの一つだが、やはりキャラクターたちの魅力こそが形作っているのだ。そして、それはジェダイやスカイウォーカー家などでなくてもいい。この世界で生きる者を描くことこそがスター・ウォーズであり、さらにこの世界は広がっていくのだ。『マンダロリアン』はそれを示してくれたと言えるだろう。今後のドラマ展開に追いつけるかは別として、どんなキャラをどう描いていくのか非常に楽しみである。
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